2019年7月24日(水)

南海トラフ、前兆で1週間避難 安全と暮らし両立探る
政府方針

2018/12/11 18:53
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南海トラフ巨大地震の震源域で前兆と疑われる異常現象が起きた場合の対応方針を巡り、政府の中央防災会議の作業部会は11日、報告書案をまとめた。震源域の半分で地震が起きた場合、被害がない地域の住民も1週間程度避難するなどの内容。「起きるかわからない地震に備えた避難」の呼びかけは混乱を引き起こす恐れもあり、住民への周知や訓練は不可欠だ。

作業部会は今後、この日の議論を元に最終報告書をまとめ、政府が数カ月以内に指針を作成。自治体や企業に避難計画の策定を求めていく。

政府は2017年11月から、南海トラフ震源域で異常が確認された場合、数分以内に「調査開始」の第一報を流すことにしている。調査で地震の可能性が高まったと判断すれば、最短2時間で「発生可能性が高まった」とする臨時情報を流す。

報告書案は、異常現象のうち、特に震源域の東西の半分でマグニチュード(M)8級の大規模な地震が先に起きる「半割れケース」の危険性を重視。半割れが起きれば、反対側でも津波の危険性が高い地域の高齢者や障害者は「調査開始」の時点で避難を始める。

続けて臨時情報が出されれば、政府は市町村長に防災対応を促し、各市町村は防災計画に基づいて避難勧告やインフラ点検などを行う。避難は1週間程度が前提。半割れはすでに東西どちらかで災害が発生しており、被災地支援の点からも「(残る反対側で)日常生活や企業活動を著しく制限することは望ましくない」として、安全と社会生活のバランスを重視する。

震源域の一部で巨大地震の前震と疑われるM7級の揺れを観測する「一部割れ」のケースで臨時情報が出れば、住民は必要に応じて自主避難する。住民が揺れを感じないプレート境界面で地殻変動が起きる「ゆっくりすべり」では、地震の備えを再確認しながら通常の生活を送る。

南海トラフ巨大地震の避難者数は最大950万人と予測され、避難所や物資の不足も想定される。報告書案は今後政府が作る指針について、「自助」に留意し「住民はあらかじめ安全な知人や親類宅を自ら確保する」などと記載するよう明記した。

過去の記録では、1854年の安政地震は東側の32時間後に西側で同規模の地震が起きたが、1944年の昭和東南海地震は2年後だった。半割れ後に反対側で1週間以内にM8級の地震が起きたのは103件中7件で確率は7%。11日の作業部会では、委員から「地震学では極めて高い数値で、1週間が過ぎた後も高止まりすることを理解してもらう必要がある」との意見もあった。

政府は最終報告書を踏まえ、関係省庁と調整して数カ月以内に指針を作成する方針。自治体や企業はそれに基づき、具体的な防災計画を策定し、訓練などを通じて周知を進める必要がある。

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