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ブルックスにトゥミ…平成にお洒落を伝えた米国の銘品

平成紳士の名靴・名小物 これまでとこれから(4)

NIKKEI STYLE

MEN

バブル崩壊、IT革命、リーマンショックetc. 男の生き方も美意識も大きく変わった平成時代には、無数の靴・小物が生まれ、名品として進化してきた。その歴史を顧みつつ、これからの展望を考えてみよう。




平成を見てきた服飾名士たちが語る

青柳光則さん(左) ファッションディレクター/1960年生まれ。出版社勤務を経て'83年独立。DC、クラシコなどトレンドの現場を牽引。
池田哲也さん(中) 服飾評論家/1968年生まれ。'90年三越入社後ローマ駐在。クラシコブーム前から当地の魅力に触れる。
吉田周平さん(右) ビームス ドレス部ディレクター/1969年生まれ。'89年ビームス入社。バイイングを通して平成ドレスクロージングを主導。

【 U.S.A 】

昭和と平成はアメリカが、そして

変わらぬよさの米国、進化が面白い日本

M.E. 今回はアメリカ。'60年代から日本に根付いて、昭和も平成も様々なムーブメントを生んできました。

青柳 我々の世代は皆、アメリカを通してお洒落に目覚めました。だから決して離れられない存在ですね。

池田 憧れの最たる例がブルックス ブラザーズですよね。'85年のプラザ合意で一気に円高が進む前は、庶民が買える値段じゃなかった。

吉田 今年はビームスでもブルックスを展開しています。やはり普遍的な魅力がありますよね。

青柳 一方でレッド・ウィングもバイク用の靴として愛用しています。ミンクオイルを染み込ませながら馴染ませていくっていう凄くラギッドな靴ですが、ツーリングで雨が降ってきたとき、その魅力に気付きます。水をコロコロ弾くんですよね。

池田 タフという面ではトゥミも凄い。バリスティックナイロンの強靭さは有名ですが、部品ひとつまで堅牢で、合理的に作られている。この合理性もアメリカの魅力でしょう。

M.E. トム ブラウンをきっかけに平成にも一大アメトラブームが起きましたし、世代を超えた魅力がありますね。さて、最後は日本について。

池田 昔から日本は優れた素材の供給元で、モノ作りのレベルも高かったのですが、ジャパンをブランドにした先駆者はフォーナインズでは。

吉田 フィット感が抜群で、相当研究を重ねたんだろうなというのが伝わってきます。感心しますね。

青柳 さらに日本のブランド価値を高めたのはビスポーク職人たちでしょうね。福田洋平さんなどは新世代の職人といわれていますが、彼らは新しい感覚をもちつつ、昔ながらの職人気質も継承しています。

池田 福田さんの靴はマリアーノ・ルビナッチもオーダーしたほどですからね。文句なしの世界レベルといえるでしょう。

吉田 ジャパンブランドはこれからもっと成長していくはず。ただの高品質じゃなくて、日本人ならではの美意識が前面に出てくるようになりました。ファーロもビームスで長年取り扱っていますが、非常に繊細な作りが魅力です。

M.E. これからの日本が楽しみですね。皆様、ありがとうございました!

RED WING/レッド・ウィングのアイリッシュ・セッター「8875」


米国が誇るハンティングブーツの金字塔
名作になった時期:1980年代後半/平成7(1995)年ごろ

1950年代にハンティングブーツとして登場し、レッド・ウィングを世界的ブランドに押し上げたのが「アイリッシュ・セッター」シリーズ。最初のモデルはオレンジがかった茶色のアッパーで、猟犬の色を思わせることが名前の由来。著名人も愛用し、'90年代の日本ではプレミアがつくほどの人気に。 3万6900円(レッド・ウィング・ジャパン)

BROOKS BROTHERS/ブルックス ブラザーズのレップタイ


創業200年を迎えたアメトラの殿堂
名作になった時期:1970年代/平成19(2007)年

平成時代には2007年にトム・ブラウンとのコラボで「ブラック フリース」を発表し当時のアメトラブームを牽引。左のタイは定番柄「#3」、右は小剣を切り替えた新作。 タイ左:1万2000円、右1万4000円、シャツ1万9000円(以上ブルックス ブラザーズ ジャパン)

TUMI/トゥミのバリスティックナイロンバッグ


堅牢、機能的、今はそれだけじゃない
名作になった時期:1983年/平成10(1998)年ごろ

バリスティックナイロン製バッグをトゥミが発売したのは1983年。日本には1998年に上陸し、ビジネスバッグが大人気に。こちらはソフネットとのコラボ作によるミニマル顔。近年は美観もさらに進化した。縦22×横28×マチ2cm。 2万9000円(トゥミ・カスタマーセンター)

【 JAPAN 】

平成とこれからは日本が繋ぐ

999.9/フォーナインズの逆Rヒンジメガネ


立体的に吸い付く驚きのフィット感
名作になった年:平成12(2000)年

フロントとテンプルを繋ぐヒンジ部分に弾力性の高いチタン素材を用いた独自機構「逆Rヒンジ」で"かけ心地のいいメガネ"の象徴に。『眼鏡は道具である。』をコンセプトに、機能とデザインの融合を常に模索。こちらはメタルとプラスチックのコンビネーションが旬な「M-104」。 4万3000円(フォーナインズ)


FARO/ファーロのコインケース


日本の繊細さが叶えた極薄のエレガンス
名作になった年:平成14(2002)年ごろ

革を極薄に削ぎ、精密に仕立てることで叶えた端正さが魅力。 上:蛇腹状のマチで小さくても大容量。縦6×横11×マチ2.8cm。2万1000円、中:マチなしのシンプル仕立て。リザード革。縦6×横7cm。3万円、下:同型のコンビカーフ版。1万8000円(以上ファーロ 新宿ニュウマン)


PORTER/ポーターのショルダーバッグ


元は懐かしのポータブルCDプレイヤーケース
名作になった年:平成9年ごろ(1990年代後半)

1990年代から国民的人気を博す「タンカー」シリーズ。こちらはポータブルCDプレイヤーケースとして1997年に発売し、今も当時の構造を踏襲。今ならかつてを懐かしみつつ、ミニショルダーバッグとして活用できる。縦18×横17×マチ6cm。 1万3000円(吉田)


YOHEI FUKUDA/ヨウヘイ フクダの既製靴


世界が惚れたニッポンシューメーカー
名作になった年:平成29(2017)年

19歳で渡英し、当地のそうそうたる靴ブランドで腕を磨いた福田洋平氏が日本に帰国したのは2008年。現在は顧客の半数以上が海外という、文字通り世界に認められた職人だ。あまりの人気ぶりに納期が延びてしまい、解決策として2017年に既製もスタート。ビスポークとほぼ同工程で作られ、最高品質の既製靴と大評判に。 24万円(ヨウヘイ フクダ)

=おわり

※「名作になった年」は編集部調べ。

※表示価格は税抜きです。

撮影/若林武志〈静物〉、彦坂栄治(まきうらオフィス)〈人物〉、武蔵俊介〈静物〉、久保田彩子〈静物〉、長尾真志〈取材〉、恩田拓治〈取材〉、荒金篤史〈取材〉、手塚 優(BOIL)〈取材〉、村上 健〈取材〉 スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/松本 順(辻事務所) 構成・文/小曽根広光、伊澤一臣 文/吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、安岡将文、川瀬拓郎 イラスト/綿谷 寛 撮影協力/GOOD MORNING CAFE 虎ノ門、EASE

MEN

[MEN'S EX 2019年1月号の記事を再構成]

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