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業績ニュース

日産、高配当は続くのか 株価は年初来安値
資本ねじれで財務に負担

2018/12/11 16:19
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日産自動車の株価が11日、年初来安値を更新し2年5カ月ぶりの安値を付けた。元会長のカルロス・ゴーン容疑者らが逮捕された後も底堅い値動きだったが、法人としての日産も起訴されるなど事件が広がり経営の先行きに不透明感が強くなった。相次ぐ不祥事が業績に与える影響や「特設注意市場(特注)銘柄」への指定の可能性などが懸念材料として浮上するなか、株価を左右する最大の焦点は高配当の持続性になる。

11日の日産株は朝方から売りが先行する展開で4営業日続落となった。一時前日比32円90銭(3%)安の912円10銭まで下落し、2年5カ月ぶりの安値を付けた。終値は前日比29円30銭(3%)安の915円70銭。1月に付けた年初来高値より2割以上安い。

10日にゴーン元会長らが再逮捕され、法人としての日産も金融商品取引法違反の罪で起訴された。検査不正も相次ぎ発覚し日産の企業統治は深刻な懸念がもたれている。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹氏は「ブランド価値も毀損し国内販売のマイナス影響は避けられない。仏ルノーとの関係悪化で協業効果も出しにくくなり業績への悪影響が懸念される」と指摘する。

こうした事態を受けて東京証券取引所は日産株を内部管理に問題がある特注銘柄に指定するかどうかの検討に入る。仮に特注銘柄に指定されれば機関投資家の多くは日産株を持ちづらくなる。

そして最大の焦点は配当政策だ。日産は経営危機を脱した01年3月期に年7円に復配するとリーマン・ショック後の2期を除き一貫して増配を続けた。19年3月期は6期ぶりに最終減益を見込むが年57円配と前期比で4円増やす計画だ。

配当に強くこだわってきたのがゴーン元会長だった。例年、株主総会では率先して配当方針を説明してきた。中期経営計画で3年後の配当を必達目標として宣言し市場を驚かせたこともある。この結果、日産株の配当利回りは6%となる。東証1部で6位の高さだ。

今回の問題は配当政策にも及びそうだ。日産の高配当の恩恵を最も受けるのが43%の株を握る仏ルノーになる。資本参加した19年間で日産がルノーに支払った配当は総額約8600億円にのぼる。ゴーン元会長も300万株以上を保有し、18年3月期だけで1億6000万円超の配当を得た。

日産とルノーは特殊な資本関係にある。日産が持つルノー株には議決権がなく、資本の論理ではルノーが日産の経営を左右する立場にある。市場では日産の高配当の影にルノーの存在を指摘する声は多い。

日産の配当余力はそれほど大きくない。会社が自由に使えるお金を示す純現金収支(フリーキャッシュフロー)は18年3月期に764億円の赤字だ。6期にわたって赤字が続いている。ルノーの純現金収支は9期連続の黒字で、日産の配当による貢献も大きい。

日産も自動車事業だけで見れば純現金収支は黒字だが、自動車大手は販売金融事業を展開する。市場で調達した資金を顧客に貸し付ける事業で販売台数が増えると現金収支は赤字になりやすい。

日産はゴーン元会長の指揮のもと米国で販売台数を維持するために大幅な値引きを活用して信用力の低い顧客にもローンやリースで販売を続けた。リース事業は自社製品を購入して顧客に貸し出すため、現金収支の悪化につながる。日産の販売金融は利益を生んでいるが米国の金利上昇で採算が低下しかねない。

日産の有利子負債は18年3月期末で約7兆7400億円。直近で最も少ない12年3月期末(3兆8300億円弱)の2倍超だ。経営危機だった98年3月期末は約4兆3400億円だった。

ゴーン元会長の解任で株式市場では「配当政策の再検討は課題のひとつ」(東海東京調査センターの杉浦誠司氏)とみている。来期以降も現在の配当政策が維持されるかは不透明で、配当を引き下げる可能性すらある。

今期は純利益に対する配当総額を示す配当性向は45%になる見通しだ。ホンダは29%、トヨタ自動車は前期並みの配当が続けば28%だ。国内3社で日産が際だって高く、日産幹部は「身の丈を超えた配当より開発など成長投資で企業価値を高めたい」と話す。つながる車や自動運転など投資案件は目白押しだ。

仮に日産が配当性向を他社並みの30%に引き下げたら今期の配当は38円になる。現在の株価なら配当利回りは4%に低下する。安値を更新した株価は日産を巡る様々なリスクを織り込みつつあるようだ。(岡田達也)

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