2019年6月19日(水)

英議会、11日にEU離脱案採決 大差で否決も

2018/12/10 18:30
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【ロンドン=中島裕介】英議会は11日、英国と欧州連合(EU)で合意したEUからの離脱案を下院で採決する。現状では与党・保守党から100人前後の多数の造反が出て否決される可能性が高い。離脱予定が2019年3月末に迫るなか、離脱案が否決されても経済に混乱を及ぼす「合意なし離脱」を回避することは可能なのか。今後のシナリオを探ってみた。

■200票差の大敗も

メイ英首相は10日も保守党議員の説得を続けた。ただ劣勢の挽回は難しい。慣習通りなら議長などを除き、下院の過半数は320人だと認識されるが、離脱案は200票程度の大差で否決されることも考えられる。

複数の英メディアは、保守党(議長・副議長を除き314人)から100人前後が造反し、閣外与党の民主統一党(DUP)の10人も反対すると予測する。野党側からの造反や首相の説得で賛成票が上積みされても、否決の優勢は動かない。

■否決後のシナリオ(1)英とEUが再交渉

保守党の強硬離脱派の筆頭格、ジョンソン前外相は「否決後もメイ氏が首相に居座るなら、EUと再交渉をすべきだ」と主張する。離脱案ではEUの政策決定に関与できないまま、EUルールに従い続ける可能性がある。このため現状の離脱案のままでは「英国の主権を回復できない」というのが強硬派の主張だ。

一方、保守党内のほかの勢力にはEUとの経済関係の維持を求める議員も少なくない。ラッド雇用・年金相はEU加盟国でないのにEUの単一市場に参加する「ノルウェー型」を主張する。保守党内の意見はまとまっておらず、仮に「再交渉」を選んでも、結局は「合意なし離脱」に至る可能性が否定できない。

■否決後のシナリオ(2)離脱延期と再国民投票

「英国の結束のため2度目の国民投票こそが最良の希望だ」。英BBCによると、保守党のリー議員は9日にロンドン近郊で開いた集会でこう訴えた。残留派の間では、否決の場合に国民投票の再実施を求める声が強まっている。EU司法裁判所が10日「英国が一方的に離脱を撤回できる」という見解を正式に表明したことも追い風だ。仮に再投票で「残留」となれば、即座に離脱を撤回できることになる。

国民投票を再度実施する場合、発案から実行まで半年はかかるとみられるため、EUに3月末の離脱時期の延期を要請することは避けられない。

メイ氏は現段階で「離脱方針を変えるつもりはない」と2度目の国民投票を否定する。「2度目の投票で『残留』が勝つとは限らない」(英政府関係者)との見方もあり、判断は容易でない。

■否決後のシナリオ(3)メイ首相の不信任

野党・労働党幹部のトリケット議員は9日「離脱案が否決されれば、総選挙に踏み切るべきだ」と語った。労働党は11日の採決が否決になればメイ氏の責任が免れないとして、内閣不信任案を出す構えを見せている。

与党が造反して不信任案まで可決されるとは考えにくい。政権交代とまでは発展しなくても、保守党内から党首(首相)交代を求める声が高まる可能性はある。メイ氏が首相から退けば、短くとも数週間は政治空白ができる。政治混乱が長引くことも考えられる。

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