自民、改憲案の提示見送り 通常国会へ戦略仕切り直し
公明なお慎重、野党は反発

2018/12/11 2:00
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臨時国会は10日閉会し、自民党が当初めざした党の憲法改正案の憲法審査会への提示は見送られた。自民党は国会での早期の改憲発議に向けた戦略を仕切り直す。2019年夏に参院選を控え、改憲に慎重な公明党への配慮は不可欠だ。野党との関係修復も課題となる。与野党の駆け引きが激しくなる参院選前の改憲発議は難しいとの見方も出ている。

臨時国会が閉会となり、衆院本会議場を出る議員(10日午後)

衆参両院の憲法審は10日、臨時国会の会期末に伴う手続きを与野党合意のうえで実施した。衆院憲法審の森英介会長は「円滑な運営ができず残念だ。今後はこれまで以上に公正、円満な運営に努めていく」と述べた。与党筆頭幹事の新藤義孝氏も審査会に先立つ幹事会で野党側に謝罪した。

衆院憲法審では与党が11月29日に自民党の森会長の職権で臨時国会で初めての審査会を開き、幹事を選任した。日本維新の会などは出席したが、立憲民主党など主要野党は反発。与野党の合意のうえで運営するとの憲法審の慣例を破ったと訴えて欠席した経緯がある。

臨時国会の会期は48日間と短かった。自民党憲法改正推進本部長の下村博文氏が憲法審の開催に応じない野党を「職場放棄」と批判して反発を招いたのも響いた。党改憲案提示は9月の総裁選での安倍晋三首相の意向を踏まえた方針だったが戦略の再構築を迫られる。

首相は10日の記者会見で20年の新憲法施行をめざす考えは変わらないとし「それぞれの政党が改正案の考え方を開陳しなければ、国民は議論を深めようがない」とも強調した。改憲戦略は政権の求心力の一つ。簡単に旗を降ろすつもりはない。

自民党は来年の通常国会で、まずは臨時国会では先送りになった国民投票の利便性を高めて国政選挙に合わせる国民投票法改正案の早期成立をめざす。その後、憲法審の自由討議を開いて党改憲案を示す段取りを描く。萩生田光一幹事長代行は9日のNHK番組で、通常国会で憲法9条など「4項目(の党改憲案)を提案する」と明言した。

カギは公明党の動向だ。山口那津男代表は11月の講演で、20年の東京五輪・パラリンピックより前には「改憲について合意を熟成していく政治的な余裕は見いだしがたいのではないか」と語るなどけん制を続ける。

立民など野党の理解を得ないまま憲法審で改憲論議が進むことにも賛同していない。斉藤鉄夫幹事長は「与野党出席のもとで円満に議事を進めるのが伝統だ。与野党そろった場で議論が進められるべきだ」と主張する。

そこで野党との関係修復もカギとなる。世論調査では改憲への関心も高い。野党に配慮を示し続ければ、憲法審の開催に応じない野党の姿勢もいずれ世論の理解を得にくくなるとにらむ。

自民党は野党への配慮として臨時国会での党改憲案の提示を断念した。10日の衆院憲法審では審査会の後に幹事懇談会を開き、国民投票法で定めるテレビCMなどの広告規制のあり方を巡って日本民間放送連盟(民放連)から意見を聞いた。ヒアリングは立憲民主党などが求めていたものだ。

来年は統一地方選と参院選を控える。自民党の改憲論議の進め方が強引に映れば、野党だけでなく公明党の反発も招きかねない。与党の選挙協力に影響するおそれもある。自民党内では参院選前は改憲論議を本格化させにくいとの見方も出る。

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