2019年3月23日(土)

7~9月のトルコ1.6%成長、近く景気後退も

2018/12/10 17:37
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【ドバイ=佐野彰洋】トルコ統計局は10日、7~9月期の国内総生産(GDP)が前年同期に比べ実質で1.6%増えたと発表した。成長率は4~6月期の5.3%から減速が鮮明。米国人牧師の拘束を巡る同国との対立でこの夏に通貨リラが急落して物価が高騰、GDPの6割を占める個人消費が落ち込んだ。2019年前半にかけて景気後退局面に入るとの観測も浮上してきた。

7~9月期の実質成長率は市場予想の2%程度を下回った。個人消費の伸びは1.1%にとどまり、4~6月期の6.4%から大きく縮んだ。官民のインフラ支出や設備投資の合計である総固定資本形成は3.8%減。一方、観光収入や輸出は好調で、景気全体の下支え役を果たした。

減速の最大の原因はリラ急落だ。8月の「トルコショック」では対ドルの年初来下落率が一時約50%に達した。このため輸入物価が上昇し、インフレ率は20%を超えた。

米国人牧師は10月にトルコの裁判所が事実上の解放を命じ、米国に帰国した。だがトルコと米国はなおぎくしゃくする。

資材の値上がりの影響で全国の建設現場では工事の休止や工期の遅延が相次いだ。ある住宅開発会社は「建材などを輸入する企業が為替リスクを避け、見積もりさえ出そうとしない」と嘆く。

通貨防衛のため、トルコ中央銀行は9月に主要な政策金利である1週間物レポ金利を6.25%引き上げ年24%に改めた。自動車販売台数は8~10月にかけて前年実績を5~7割下回った。車両価格とローン金利がいずれも上昇したためだ。エルドアン政権は10月末、自動車や家電を対象に年末までの減税措置を急きょ導入し、販売テコ入れを目指した。

通貨安と貸出金利の上昇はトルコ経済を圧迫する。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはトルコの実質成長率を18年が1.5%、19年はマイナス2%と予測する。国際通貨基金(IMF)は19年を0.4%とみている。

投資家に徹底を約束していた財政規律の先行きも不安視される。エルドアン大統領は6日、長さ45キロメートルの巨大運河をイスタンブールに建設する構想について「19年に入札を実施するが、非常に遅れている」と述べた。統一地方選を19年3月末に控え、自動車や家電への減税を19年1月以降も続けるとの観測もある。

金融機関は不良債権の増加を恐れる。銀行大手のアクバンクは財務基盤を強固にするため、新株を発行し、増資すると発表した。トルコ国営の政策銀行は国営の商業銀行などから住宅ローンを買い取り、証券化商品を組成した。これら商業銀などの貸し出し余力を高めるためだ。

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