大手証券3社、主要企業の業績予想引き下げ
企業業績が拡大するとの期待が小さくなっている。大手証券3社はこのほど主要企業(金融除く)の2018年度の業績見通しについて、8月時点の増益率予想からそろって引き下げた。各社の予想合計は経常利益ベースで前年度比9~10%増。業績の拡大は続くが、中国景気の減速によって伸び悩むとみている。
野村証券は主要303社の経常利益予想の合計を8.9%増と、前回予想から2.4ポイント下方修正した。中国での工場の自動化に向けた設備投資が落ち込み、半導体製造装置の需要伸び悩みも修正につながった。
業種別では電機・精密に加えて、自動車の引き下げ額が大きかった。自動車では相次ぐ検査不正の問題のほか原料高や新興国通貨の下落などを織り込んだ。金属相場が下がっている鉄鋼・非鉄業界も振るわない。
大和証券も18年度の経常利益予想を1.6ポイント引き下げて9.8%増とした。大和証券の高橋和宏株式上席ストラテジストによると「ドルとユーロの為替見通しの修正をせずに、当年度と次年度の業績見通しをあわせて減額修正するのは3年ぶり」という。
19年度の予想経常増益率も、3社ともに下方修正した。18年度に比べ8~10%の増益となる見込み。SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストは「中国政府が抜本的な経済政策を打ち出す3月以降に、中国経済は最悪期を脱して先送りされた設備投資も需要が戻ってきそうだ」と指摘する。