2019年1月19日(土)

動物園の展示、数から質へ 確保困難で在来種に力点も

2018/12/10 10:34
保存
共有
印刷
その他

全国の動物園で、展示する種類を絞り、個々の飼育環境整備に力を入れる動きが広がっている。野生動物保護の流れを受け、海外の個体入手は難しくなり、国内にいる個体は高齢化が進む。動物園側は、単なる陳列ではなく動物の生態を知ってもらおうと工夫を重ね、外国人客の増加を背景に在来種の拡充に取り組む所もある。

札幌市円山動物園のホッキョクグマ館(2017年11月)=同動物園提供・共同

ホッキョクグマ館の水槽で泳ぐホッキョクグマ(3月、札幌市円山動物園)=共同

年間80万~90万人が訪れる札幌市の円山動物園は、十分な飼育環境を確保できないため、アフリカに分布するブチハイエナや北米に分布するシンリンオオカミなどの飼育をやめる予定だ。一方で、オオワシやエゾシカなど地域に生息する動物を集めた「北海道ゾーン」の新設を目指す。

海外から導入する際、引き渡す動物園から一定の施設基準を満たすよう求められることもある。円山動物園では2017年10月、ホッキョクグマ館を新設。さらなる導入を見越して、米動物園水族館協会や多くのホッキョクグマが生息するカナダ・マニトバ州の施設基準に沿って設計した。獣舎の広さは従来の約5倍だ。

加藤修園長(52)は日本の動物園に対する海外の目が厳しくなっていると指摘。「飼育種を減らせば、それぞれの住環境を充実させて生き生きとした姿を見せることができる」と話す。

大阪市の天王寺動物園は、新たな個体導入が難しいことからコアラやヒョウなど8種の飼育をやめることを決めた。ホンドタヌキやニホンアナグマなど在来種を入れて「日本の森・里山ゾーン」をつくる計画だ。管理課の市川晴子さん(43)は「海外からの来園者も多いので、日本の動物を見てほしい。昔話に出てくるタヌキなどが、どう生活しているのか伝えたい」とした。

野生動物の取引はワシントン条約で規制され、ゾウなど大型哺乳類を中心に入手が難しくなった。感染症の拡大を防ぐため検疫もある。口蹄疫(こうていえき)などに感染する可能性があるフタコブラクダについて、日本動物園水族館協会(JAZA)の担当者は「30年前なら容易に輸入できた」と説明。こうした事情は、価格にも跳ね返る。

一方、レジャーの多様化や少子化で動物園の経営環境は厳しさを増している。JAZAによると、加盟動物園の来園者はピークだった1991年度の約6565万人から昨年度は約4363万人に減少。動物園の数も99年の98園から今年12月現在で91園となった。

京都大野生動物研究センターの伊谷原一教授は「多くの動物園が、飼育種本来の行動を引き出して自然教育に生かそうと努力している」と評価した上で、「施設の改善や展示方法の工夫にも費用がかかる。経営基盤が弱い動物園は淘汰されていくだろう」と語った。〔共同〕

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報