被爆地の中間を平和拠点に 福岡・上毛町、来年植樹へ
広島と長崎の両被爆地を直線で結んだ中間に位置する福岡県上毛町を、両市に並ぶ第3の平和の発信拠点にする計画が進んでいる。被爆地以外の自治体に、核廃絶の声を上げにくい雰囲気を感じた広島市の被爆者で、建築家の錦織亮雄さん(81)が発案。坪根秀介町長は「少しでも平和に貢献できるなら」と受け入れを表明した。
まずは、被爆したクスノキなどの樹木の種から育てた苗木数本を来年8月にも町内の大池公園に植える予定。植樹には、両被爆地と町の小学生らを招待する計画を立てている。
2020年2月に創立60周年を迎える広島東南ロータリークラブの記念事業の一環。実行委員長を務める錦織さんが「両被爆地の中間地なら一緒に何かできそうだ」と考えたことが、きっかけとなった。
上毛町が両被爆地それぞれから約150キロの位置にあることが分かり、錦織さんが今年4月に坪根町長を訪ねて、事業を提案した。
町によると、大池公園は再開発中で、園内の池の中央に向かって東西から突き出た二つの陸地部分を広島ゾーン(東側)、長崎ゾーン(西側)として整備し、それぞれの都市の木を植える。今後は折り鶴や平和を祈るモニュメントの設置も検討している。
錦織さんは「原爆だけでなく戦争全体を考える発信地になってほしい」と話し、第3の平和拠点としての今後の取り組みに期待を寄せている。〔共同〕