2018年12月15日(土)

英離脱に数カ月延期案 EUが「合意なし」回避へ検討

Brexit
ヨーロッパ
2018/12/7 17:58
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【ブリュッセル=森本学、ロンドン=中島裕介】英議会が11日に採決する英国の欧州連合(EU)離脱案を巡り、EU側から2019年3月末の離脱時期を数カ月遅らせる案が浮上している。英議会では英・EUで合意した離脱案への反発が強く、議会承認の見通しが立っていない。離脱時期の延期により善後策を練る時間を稼ぎ、経済に混乱を及ぼす無秩序離脱を避ける狙いだ。

複数の英メディアによると、EU側が離脱時期の延期に応じることを検討している。ただ実現のハードルは高く、事態を解決する決定打になるかは不透明だ。

英議会は4日から離脱案の審議に入ったが、与党内から100人以上の造反が見込まれるなど、11日の可決が難しくなっている。否決されたら英政府は21日間以内に対応を決め、再び議会で代替案を審議・採決する。ただ反対派がEU残留派、強硬離脱派に割れているため、過半数の賛成を得られる代替策をつくるのは難しい情勢だ。

デモ活動を展開するEU離脱派の人々(6日、ロンドン)=ロイター

デモ活動を展開するEU離脱派の人々(6日、ロンドン)=ロイター

このため期限の3月末までに離脱条件などを定めた協定の発効が間に合わず、企業活動などが混乱する無秩序な離脱に陥る懸念が強まっている。離脱時期を延ばせば、その時間を無秩序な離脱を避けるための事前準備や英・EUの調整に充てられる。

離脱期限の延期には、英国から要請し全EU加盟国が承認する手続きが必要になる。英紙タイムズによると、延ばせる期間は最長でも約3カ月。19年5月の欧州議会選後、初めての欧州議会が招集される7月2日までとの観測が浮上している。

EU側は延長に応じる条件として、英国が2度目の国民投票を実施するか、非EU加盟国でありながらEU単一市場に参加する「ノルウェー型」の離脱を選ぶかの2案を想定。さらにEUとどのような将来関係を求めているのかを英議会が明確にするよう求める方向だ。

いずれの案も英国にとってハードルが高い。2度目の国民投票は、「離脱」を選んだ16年の国民投票の結果を尊重するとしてメイ英首相が実施を繰り返し否定してきた。もし実施するとしても、再投票で何を問うかを巡って議論が難航する恐れがある。「EUとの再交渉を求めるかどうか」といったあいまいな選択肢であれば、英・EU間で合意するための後押しにはならない。

単一市場に残る案では、英国内のEU残留派や穏健離脱派の賛成は得られるが、過半数を確保できるかどうか微妙だ。特に「ノルウェー型」の場合、英国が移民の流入を容認するなどEUルールに従う必要がある。EU離脱の目的が達成できないと強硬派が猛反発するのは必至だ。仮にEUから離脱先延ばしの打診があっても、英国内の調整は簡単ではなさそうだ。

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