自衛隊、陸海空の統合強化へ新組織 与党が大筋了承

自民、公明両党は7日午前、防衛計画の大綱(防衛大綱)の見直しに向けたワーキングチーム(WT)を開いた。政府は陸海空の自衛隊の一体的な運用を進めるために統合幕僚監部に新たな組織を新設する案を示し、大筋で了承された。
会合で政府は新たに「統合作戦室(仮称)」の新設を検討すると説明した。宇宙やサイバーなど新たな領域の重要性が増していることを踏まえ、陸海空を一元的に運用する体制を整える。自衛隊トップの統合幕僚長の負担を軽減する狙いもある。
WT座長を務める小野寺五典前防衛相は「統幕長と統幕副長の役割を明確にし、部隊の運用と閣僚の補佐を十分にできる方向で進むことで合意した」と述べた。
現状では統幕長は陸海空の3自衛隊の運用を統括すると同時に、首相や防衛相の判断を軍事的な見地から補佐する役割を担う。ただし有事や大災害が発生した際には統幕長の負担が重くなりすぎるとの指摘があった。統合作戦室の規模や組織の位置づけなど詳細は今後詰める。統幕長と統幕副長の役割分担も論点になる。
統幕は2006年に陸海空の自衛隊の一体運用を進めるために設置した。15年度には部隊運用を担ってきた内部部局の運用企画局を廃止して統幕に一元化するなど統合運用を進めてきた。
今後は陸海空の領域を超えて宇宙・サイバー、電磁波を扱う電子戦など新たな分野を使った複合的な「ハイブリッド戦」が主流になる見込みだ。こうした事態に対処するためには陸海空の自衛隊のさらなる統合が必要との判断がある。
護衛艦「いずも」を戦闘機が離着陸できるように改修し、事実上の「空母」として運用する案については7日の会合で議論したが「政府の説明が不十分」として了承を持ち越した。座長代理を務める公明党の佐藤茂樹外交安全保障調査会長は「必要性、運用、今までの政府答弁との整合性など様々な意見があった」と語った。政府に改めてWTでの説明を求める。
政府は与党との調整を経たうえで12月中旬の閣議決定を目指す。