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意外に早い野球選手の「旬」 データが示す現実
野球データアナリスト 岡田友輔

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2018/12/9 6:30
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次は投手だ。分析結果はかなり厳しい。防御率の経年変化においては、20代前半からほぼ一貫して悪化している。被打率や被本塁打率も高まる一方、奪三振率は反比例して落ちていく。救いは20代前半で急速に減少する四死球率だが、トータルの能力としては「投手は若いほどいい」ということになってしまう。

大リーグはFA選手獲得に二の足

野球観戦の経験則に照らすと、この結論には違和感を覚えるかもしれない。投手には経験や技術に裏打ちされた「投球術」が求められる。黒田博樹さんや上原浩治のように30代後半になって大リーグの一線で活躍した投手もいる。ところが統計が示す「平均的な投手」のイメージは「消耗品」というほかない。

この結論を絶対の正解とすることはできないが、分析の手法に目立った欠陥は見当たらない。となると蓋然性が高いのは、30代半ばを過ぎて活躍している投手は一部の例外に過ぎず、大半の投手は若くして燃え尽きているという残酷な現実だ。実際、実働が10年を超える投手は野手の3分の2程度しかいない。24歳でデビューし、今季43歳で引退するまで1000試合以上に登板した岩瀬仁紀さんは例外中の例外といえる。

史上最多の1002試合登板をマークして今季引退した中日・岩瀬。これほど息の長い投手は例外だ=共同

史上最多の1002試合登板をマークして今季引退した中日・岩瀬。これほど息の長い投手は例外だ=共同

野球選手の年の取り方は日本でも米国でも変わらない。近年、大リーグでフリーエージェント(FA)になった選手の移籍先がなかなか決まらない傾向がある。これは多くの選手の「旬」が従来のイメージ以上に早いことが分かり、巨額の投資に二の足を踏む球団が増えているためだ。日本でもFAで獲得した大物が期待外れに終わることがあるが、年齢とパフォーマンスの関係を考えれば驚くには当たらない。FAとはそれだけリスクの高い投資なのだ。

大リーグではこれまで年俸を抑えられてきた若手がFA権の取得前に所属チームと大型の複数年契約を交わすケースが増えている。球団からすれば旬の時期にしっかり働いてもらえるし、選手にとっても一定期間の身分と年俸が保証される。双方に利益があるわけだ。

「3年活躍して一人前」という考え方が根強い日本では、若手時代は年俸が上がりにくい代わりに、成績が振るわなくても変わらず億単位をもらっているベテランが相当数いる。若い頃の報酬を後払いでもらう論功行賞とも解釈できるが、すべての選手が長く現役を続けられるとは限らないから、もらい損ねる選手も出てくる。

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