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豊島逸夫の金のつぶやき

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株価急反転の一部始終

2018/12/7 9:16
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昨晩のニューヨーク(NY)株式市場は午前中に下げ幅を700ドル超まで急拡大したが、午後になり一転下げ幅縮小モードに転換。終わってみれば一桁違う前日比79ドル安で引けた。

なんとも皮肉な成り行きである。

午前中はファーウエイ・ショック、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意難航、逆イールドを嫌気してアルゴ取引中心に売り注文が連鎖的に殺到した。しかし、株価の異常な下落が、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測後退を予測させる結果になった。OPEC減産合意難航、原油安懸念も物価を引き下げ利上げを遅らせる要因と化した。

偶然なのだが、昨晩の株価下落過程で、カプラン・ダラス連銀総裁が米国CNBCテレビに生出演。来年前半の米国経済の景色は今年と異なる、と警鐘を鳴らし「ゲームでカードを開いても、動かず我慢強く待つべき時もある」と語った。

さらにボスティック・アトランタ連銀総裁が「中立金利は、叫べば届く距離にある」と発言。パウエル総裁の「中立金利近し」発言に合わせたかの如き表現ゆえ、市場内では米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者たちの利上げ慎重論「合唱コーラス」のような効果があった。

同時進行的に、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、パウエルFRB議長の「金融政策とは暗闇の部屋を手探りで歩く如し」との講演発言を引用。フォワード・ガイダンスにより市場に利上げ方針を明示するのではなく、「成り行きを見守るwait and see」の姿勢と報道した。これまでの3か月に一度利上げという決まったペースではなく、データ次第であくまで臨機応変に対処する。来年の利上げペースは白紙状態なのだ。

市場内には、今月12月の利上げも、1カ月遅らせて来年1月に延期するとの説さえ流れる。これまではFOMC後の記者会見を行う3月、6月、9月、12月に利上げが決定され、記者団との一問一答で丁寧に説明された。しかるに来年からは1月、5月、7月、11月のFOMC後にも記者会見が行われる。ゆえに、全てのFOMCが「ライブ」で、「無風」の金融政策決定会合は無いのだ。

かくして、最重要経済データである本日発表の米国雇用統計への注目度がいつになく増している。

なお、市場内部要因として連日の極めて荒い値動きにより、株式・債券市場の流動性が著しく減少していることが懸念されている。高速度アルゴリズム取引が、一説には取引量の8割を占めるとも言われるほどの状況だ。そこで、市場が異常な乱高下に陥るとトレーダーたちがスイッチをOFFにしてしまう。売値買値を提示するマーケットメーカーが減り、価格変動が増幅するという負の連鎖である。市場価格に連動することが売り物のETFも、激しい値動きに追いつけず、原資産価格からの乖離(かいり)現象が目立つ。

FOMC後の記者会見が増えたことで、来年の乱高下の回数が増えるは必至だ。

今年、パフォーマンス悪化で苦境にあえぐヘッジファンド業界では、起死回生の機会到来との期待感が強まっている。対して一般投資家は、ますます模様眺めの姿勢を強めそうだ。キャッシュがキング。低インフレ状況が続くのであれば、現金が王様という風潮も強まりそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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