2018年12月12日(水)

教員働き方改革、実現は不透明 中教審が指針案了承

社会
2018/12/6 23:10
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教員の働き方改革で中央教育審議会は6日、公立校の教員の残業時間を原則「月45時間以内」とする文部科学省の指針案を了承した。ただ「深い学び」を目指す新学習指導要領への対応や部活動の運営など学校現場が抱える課題は多く、実現性は不透明。同省は細かな対策を積み重ねて改革を進める考えだが、保護者をはじめとする地域社会の支援も必要になる。

教員の働き方改革を議論した中教審の特別部会(6日、東京都千代田区)=共同

指針案は、民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法を参考に、教員の目安を原則月45時間、年360時間に設定。特別な事情があっても月100時間未満、2~6カ月の月平均で80時間、年720時間までとした。

現場からは懐疑的な声も上がる。「働き方改革なんて、外国のことみたい」。関西地方の中学校で働く40代女性教諭は冷めた口調で言う。

2017年度、運動部の顧問を任された。朝練で午前6時45分には自宅を出て、放課後の練習や授業準備を終え、帰路に就くのは午後9時ごろ。月100時間超の残業を正直に申告すると、管理職から短く書き直すよう命じられた。

スポーツ庁が今年3月に策定した運動部活動の指針は週2日以上の休養日を設けるなどとしたが、変化はない。「長時間預かってほしいという保護者の声に応えざるを得ない面もある。今回も文科省の理想通りにはいかないのでは」。企業と違い、学校の働き方改革には地域社会の理解と支援が欠かせない。

6日の特別部会でも、残業時間削減の実現を危ぶむ意見が出た。ある委員は、管理職から勤務終了前にタイムカードを押すよう指導されたという声を複数の学校で聞いたとして「相談窓口の設置など、適正な運用を図る取り組みが求められる」と述べた。

別の委員は、指針案で特別な事情がある場合の上限が月100時間未満とされたことに対し「拡大解釈されては元も子もない」と強調した。

特別部会がこの日示した答申素案には具体策として、出勤時間を遅くすることや校務支援システムの活用による成績処理などの負担軽減、部活動での外部指導員の活用といった細かな項目が盛られた。文科省の担当者は「改革に特効薬はなく、地道な取り組みの合わせ技でやるしかない」と強調する。

働き方改革関連法には罰則があるが、答申素案は罰則の導入には「慎重であるべきだ」とした。労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入も提言。文科省は導入する自治体が条例化できるよう教職員給与特別措置法(給特法)の19年度改正を目指す。

文部科学省は6日、教員の残業時間上限を原則月45時間までとする指針案と働き方改革を巡る答申素案に関するパブリックコメント(意見公募)を始めた。21日まで。意見を踏まえて年明けにも指針案を正式決定する。〔共同〕

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