2019年8月20日(火)

イラン、2019年度予算で日量150万バレルの原油輸出想定
ロウハニ政権が議会に予算案を提示

2018/12/6 18:00
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【ウィーン=岐部秀光】イランのロウハニ政権は6日までに2019年3月から始まる来年度の予算案をまとめた。米トランプ政権はイラン産原油の輸入を禁じる制裁を打ち出したが、予算案は日量150万バレルの輸出を想定している。イランは米の制裁をかいくぐり、アジアや欧州向けなどで一定量の原油の販売を続けることに自信を深めているもようだ。

イランメディアによると、一般財政予算は今年度に比べおよそ12%拡大。公務員の給与を20%引き上げるなど、制裁による経済への打撃をやわらげようとしている。

デジュパサンド財務相は、予算案の作成について「戦時よりも困難だった」と述べ「非常事態予算」であることを強調した。イランでは予算案を政府が議会に提示し、議会が議論して修正。最高指導者の指名により選ばれる「護憲評議会」が最終的に承認する。

イランの17年の原油輸出量は日量200万バレルを上回っていた。今回の予算案では原油価格を1バレル54ドルと想定した。イラン産原油は、国際指標のひとつである北海ブレントより1バレル3~4ドル割安で取引される。想定価格は現在の相場にほぼ一致する水準だ。

イラン核合意から離脱した米は11月に原油取引を柱とする対イラン関連制裁を完全に復活させた。トランプ米大統領は当初「イランの原油輸出をゼロにする」と述べていたが、ぎりぎりになって日本をふくむ8カ国・地域に180日間の適用除外を認めた。米国務省のフック・イラン担当特別代表は今週、適用除外の期間終了後に輸出ゼロをめざす方針を改めて確認した。

イランは欧州連合(EU)が準備している米ドル決済回避のための「特別目的事業体(SPV)」を活用するなどして、適用除外の期間が過ぎても原油の販売を続けたい立場だ。

イランでは米制裁の復活を背景に、通貨の対ドル実勢価格が急落して輸入品の物価が高騰した。インフレ率は30%を超えており、20%程度の公務員給与の引き上げでは打撃を打ち消すのは難しい。民間部門の雇用や給与環境はさらに厳しい。

原油収入が減る見通しのほか、税収の減少、金利の上昇、年金の支払いが増えることなどで、財政赤字は拡大する見通しだ。

制裁による経済の混乱で、イランに必要な経済改革が遅れるリスクも高まりそうだ。銀行の不良債権処理や為替制度の透明化、燃料補助金の削減などが先送りされる可能性がある。イランのガソリン代はおよそ1リットル10セント(11円)。国際通貨基金(IMF)によると、燃料補助金の費用は国内総生産(GDP)の1.6%にのぼる。

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