北海道の企業、BCPを見直し 自家発電導入に弾み
北海道経済特集

2018/12/6 1:00
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北海道によると、公共土木設備や農林水産業への直接的な地震被害総額は2300億円を超えた。さらに全道停電、ブラックアウトによって商工業では売り上げ減が1300億円規模に及んだ。道内の企業や金融機関、農家は災害に備える事業継続計画(BCP)の見直しを進めている。

ガスコージェネで発電した電気で映るテレビを食い入るように見つめる避難者ら(9月、札幌市のアーバンネット札幌ビル)

ガスコージェネで発電した電気で映るテレビを食い入るように見つめる避難者ら(9月、札幌市のアーバンネット札幌ビル)

停電で9月6日の取引を終日停止した札幌証券取引所は10月、予備電源を追加で導入した。非常時の電力は従来比3倍の9時間に延び、少なくとも1日分の取引は自前の電気で継続できる。さらに取引中の監視システムについても、停電時に非常用電源に自動で切り替わる仕組みの導入を検討中だ。

道内地銀の北洋銀行と北海道銀行は地震後に事前のBCPに沿って対応。9月6日当日も北洋銀行は非常電源のある約50店舗、北海道銀行は27店舗で営業を再開した。今後は非常電源や店外ATMの配置見直しなどに取り組む。

トヨタ自動車北海道(苫小牧市)は自家発電設備を備えているが、工場を稼働させるほど発電することは想定していなかった。地震直後は臨時で設置した防災本部や、事務用のインターネット、通信機能に電気を回した。

乳業各社では地震・停電で工場の操業が止まり、行き場を失った生乳が大量に廃棄された。乳業各社や酪農家はリスク対応を急ぐ。

よつ葉乳業は1990年代から自家発電設備の整備を進めてきた。道内4工場のうち自家発電設備を備えていた十勝主管工場(音更町)とオホーツク北見工場(紋別市)は地震による停電後も工場を稼働し続けることができた。10月には根釧工場(釧路市)に自家発電設備を新たに導入。残る宗谷工場(浜頓別町)も来年度中の導入を目指す。

北海道庁によると道内の酪農家で自家発電設備を持っていたのはおよそ3割。酪農家の約6割が発電機を持っておらず2日間で約2千トンの生乳を廃棄した道東あさひ農業協同組合(別海町)は、所属する全ての酪農家に発電機を設置することを決めた。

東急百貨店札幌店が設置する自家発電機は店の電力の約半分を賄える

東急百貨店札幌店が設置する自家発電機は店の電力の約半分を賄える

事前の備えがあった流通事業者は活躍が光った。コンビニエンスストア「セイコーマート」を展開するセコマ(札幌市)はガソリン車で発電できるキットを全店に用意していたことで、停電の中でも多くの店を営業できた。自家発電を持つ東急百貨店札幌店も当日から店を営業できた。店で使う電力の約半分を賄える規模がある。

都市ガスを燃料としオフィスビルや病院などに導入されていたコージェネレーション(熱電併給)システムも地震当日から通常通り稼働した。一部のビルはコージェネを活用して、携帯電話の充電など一時的な防災拠点としても機能した。

これまで道内企業のBCP策定は遅れていた。札幌商工会議所が9月に実施した調査では、BCPの策定率は33%にとどまった。特に中小企業は25%と低かった。地震でこうした意識が変わる可能性がある。

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