2018年12月12日(水)

米、ロシアに「60日猶予」 核条約順守迫る

トランプ政権
ヨーロッパ
北米
2018/12/5 18:09
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【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は4日、中距離核戦力(INF)廃棄条約をロシアが60日以内に順守しなければ条約破棄に向けた措置を取ると表明した。欧州諸国から懸念の声が上がっているため、ロシアに「最後通告」を発する手続きを踏んだとみられる。ロシアは条約違反を認めておらず、交渉の行方は不透明なままだ。

「こんなものは条約とは言えない」。ポンペオ氏はブリュッセルで開いた北大西洋条約機構(NATO)外相会議後の記者会見で不満をあらわにした。2013年以降に開いた米ロ高官協議で違反の是正を少なくとも30回は求めたが、ロシアに改善は見られないと説明した。ロシア軍は一部の短距離・地上発射式の弾道ミサイルや巡航ミサイルの射程を延ばしているという。

米国が猶予期間を設けたのは、米の一方的な破棄だとの批判を避ける思惑とみられる。トランプ米大統領が10月、条約破棄の方針を表明したことを受け、欧州諸国からは再び冷戦時代のように欧州でINF配備競争が始まる懸念が出ていた。

米メディアによると、ドイツのメルケル首相は1日にブエノスアイレスでトランプ氏と会談し、即時の破棄通告に反対しロシアの対応を見極めるための期間が必要だと訴えた。ポンペオ氏は4日「欧州には(軍事的な)安定を保証する」と述べ、NATOを通じた共同防衛を推進する考えを改めて示した。

ロシアは条約に違反していないとの立場を崩さない。ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、ポンペオ氏の発言について「米国は(INF条約を破棄する)目的を(ロシアの責任にして)ごまかすつもりだ」と発言した。プーチン大統領は同日、米ロだけが条約に縛られている事実を指摘しながら「米国が中距離ミサイルを持つならば、ロシアも同じ行動を取る」とけん制した。

トランプ政権はINF廃棄条約の制限を受けない中国を意識する。トランプ氏は3日、中国やロシアと「将来のどこかの時点で、制御不能になっている軍拡に大きな歯止めをかける協議が始まると確信している」とツイッターに投稿した。中国を軍備管理交渉に引き込むためにも、INF条約見直しの時期にさしかかっているとの認識を示したものとも受け取れる。

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