2018年12月11日(火)

ミノムシの糸で工業製品 興和と農研機構が技術開発

科学&新技術
ビジネス
2018/12/5 17:55
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医薬品メーカーの興和(名古屋市)と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は5日、ミノムシの糸を工業製品などに使える技術を開発したと発表した。1匹のミノムシから一度に数百メートル単位の糸を採取できる方法を確立し、従来のシルク繊維に代わる素材としての実用化をめざす。自動車部品などに使われる繊維強化プラスチック(FRP)への活用も検討する。

記者会見で握手を交わす興和の三輪芳弘社長(左)と農研機構の久間和生理事長(5日午後、東京都中央区)

興和と農研機構は2016年から興和先端科学研究所(つくば市)を設立し、数十種類の昆虫の糸の強度などを研究してきた。その中でミノムシが巣を作るときや移動するときに吐き出す糸に着目。日本の在来種であるオオミノガやチャミノガを数万匹飼育し、糸を採取している。

ミノムシの糸は自然界において最も強度があるといわれるオニグモの糸に比べ、糸を引っ張っても元に戻る力が3倍近くあるという。また、糸を伸ばしたときの糸の切れやすさは2分の1だといい、服の繊維として使われる合成繊維の代替素材として期待される。

自動車部品や飛行機部品などに使われるFRPへの活用も検討する。FRPを組成する際に一般的に使われることが多いエポキシ樹脂の代わりにミノムシの糸を配合すると、従来のものより強度が強くなり、軽い素材を作ることができたという。

たんぱく質でできているため生分解性があり、廃棄時にも環境負荷がかからない。今後、素材メーカーとの連携を強め、数年以内の実用化をめざす。

ミノムシは蚕などに比べ、1匹あたりに採取できる糸の量が多い。蚕は生きている間に1度しか糸を吐き出さないものの、ミノムシは餌を与え続ければ約1年間の寿命の間に何度でも糸を吐き出せるので糸を量産することも可能になる。農研機構はミノムシが移動する際に糸を吐き続ける特性を利用し、ミノムシが歩行できる長い1本道の装置を用意。道を移動する限りは糸を吐き続けるので、数百メートル単位の長い糸を採取できるという。

興和の三輪芳弘社長は5日、都内での記者会見で「防弾服から電子部品まで、あらゆるものに使える新たな素材にしたい」と話した。現在は研究員が数百グラムずつ手作業で糸を採取しているが、今後は量産化の体制を整え、シルクと同程度の価格で供給できる体制を目指していくという。

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