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ウマ科学会、画期的治療法や驚きの研究報告の数々

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2018/12/8 6:30
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12月3、4の両日、馬にまつわる様々な研究者が集う日本ウマ科学会学術集会が開かれた。馬の学術的研究、特に獣医学系の研究についてほとんど素人の私にとって、毎年あっと驚く研究発表が盛りだくさん。会費を払えば市井の研究者も入会できるため、私も学会の一員となってここ数年、聴講している。

同学会の発足は1990年。同年に第1回学術集会が開かれ、年2回開催された年もあったため今回で31回を数える。2016年までは鮮やかに黄葉するイチョウ並木と落葉が美しい東京都文京区の東京大学農学部で開催されていたが、17年からは墨田区の国際ファッションセンターに会場を移した。

獣医学から競馬の歴史まで様々な分野の一般講演が行われた

獣医学から競馬の歴史まで様々な分野の一般講演が行われた

今年は4会場に分かれ、毎年並行して開かれる日本中央競馬会(JRA)主催の競走馬に関する調査研究発表会、獣医学から社会学や歴史学に至るまで多彩な研究を10分刻みで発表する一般講演のほか、臨床委員会症例検討会なども行われた。

暑い夏の時期は牝馬が強い?

これまでを振り返ると、15年には第一指骨(馬の前脚の人間でいえばくるぶしに見える部分の下で、体重を支える短い骨)が「バラバラ状態」に粉砕骨折した馬を石こうギプスと金属バー、ピンを使った手術で「安楽死」手前の状態から救った驚きの治療法が紹介された。最近注目の再生医療関連では、サラブレッドの腱(けん)の治療に使うための幹細胞の供給源として、通常は成長段階で幼いうちに抜いて捨ててしまう「狼(ろう)歯」と呼ばれる歯の歯髄組織を回収、保存する方法が示された。また、「暑い夏の時期は牝馬が強い」という説が常識のように語られている。確かに牝馬は牡馬よりも夏場の複勝率(3着以内に入る確率)が高いものの、意外なことに熱中症の発症率は高く暑熱環境には弱い可能性が示された。

16年は競走馬の不治の病とされる浅屈けん炎に対する幹細胞による治療について、明白な治療効果が得られていないという発表があった。しかし、同時にこの種の細胞治療は補助治療として様々な疾患の治療に応用できる可能性も示された。

17年、学術集会が30回の節目を迎えたことを記念して行われたシンポジウム「日本の馬の歴史と利活用からみた将来展望」では、明治から昭和初期まで150万頭いた日本の馬が20年前に12万頭、現在は7万頭にまで減少しているという統計が示され、改めて馬文化衰退の危機を実感させられた。身近に馬のいる日常が我が国から急速に消えつつあるのだ。

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