2019年3月22日(金)

核廃棄条約「60日」後に破棄手続き開始へ、米国務長官
ロシアが違反解消に応じない場合

2018/12/5 4:28
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【ブリュッセル=森本学】ポンペオ米国務長官は4日、中距離核戦力(INF)廃棄条約を巡って、ロシアが「60日以内」に条約違反を解消しなければ、米国は条約の破棄手続きに着手すると表明した。ブリュッセルで同日開いた北大西洋条約機構(NATO)外相理事会後の記者会見で語った。同日の理事会では「ロシアは条約違反をしており、欧州大西洋地域の安全保障に重大なリスクを及ぼしている」と、米国を支持する共同声明をまとめた。

ポンペオ米国務長官はINF条約違反解消をロシアに要求した(4日、ブリュッセル)=AP

ポンペオ氏は「ロシアが心変わりすれば歓迎する」とする一方、現時点では期限に掲げた60日以内にロシア側が条約違反を解消する兆しは見られないとも指摘。このままでは6カ月間の破棄プロセスに入ることになるとの見通しを示した。

米国は東西冷戦中の1987年に当時のソ連と、射程500~5500キロの地上発射型弾道ミサイルの保有を禁じるINF条約を締結。約30年にわたって維持してきたが、10月にトランプ米大統領がロシア側の違反を理由に条約破棄を表明していた。

ポンペオ氏はロシアが条約で定めた軍備管理の義務をあざむいて、条約に違反する能力を持つミサイルを国内各地の大隊に配備してきたと説明。「欧州にとって直接の脅威となっている」と強い懸念を表明した。

トランプ氏が条約破棄を表明した10月には、英国が米に同調した一方、ドイツや欧州連合(EU)からは条約堅持を求める声が相次ぎ、NATO内の足並みの乱れも浮き彫りになった。

一方、4日のNATO外相理事会で採択した共同声明では「ロシア側がINF条約の義務を巡って重大な違反を犯しているとの米国の調査結果を強く支持する」との見解で加盟国が一致。米国はこれまで条約を「完全順守してきた」との認識も共有した。

そのうえで声明では、ロシアにINF条約違反の解消を「完全で検証可能」な形で早急に実現するよう要求。NATOのストルテンベルグ事務総長は理事会後の記者会見で、INF条約を今後も堅持できるかは「ロシア次第だ」と訴えた。

理事会では、ウクライナ南部クリミア半島周辺の黒海海域で、ロシア警備艇がウクライナ艦船を拿捕(だほ)し、乗組員を拘束した問題も改めて協議。ロシア側に乗組員と艦船の早急な解放を求めた。

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