2018年12月19日(水)

英離脱「取り下げ可能」、欧州最高裁法務官が見解
新たな選択肢、英国内議論さらに混迷も

Brexit
ヨーロッパ
2018/12/4 21:01
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【ブリュッセル=森本学、ロンドン=中島裕介】欧州連合(EU)の最高裁にあたるEU司法裁判所の法務官は4日、英国のEU離脱決定を巡り、他の加盟国の同意がなくても英国が一方的に撤回できるとの見解を示した。メイ英首相は「離脱案を認めるか、『合意なし』離脱のどちらかだ」と二者択一を反対勢力に迫っているが、今回の見解に沿った判決が出れば、離脱撤回という第三の選択肢が加わることになる。

法務官の見解は正式な判決ではないものの、今後の審理の方向性を示すものとして注目を集めていた。法務官は4日、

メイ英首相は離脱案への理解を呼びかけるが、反対派の拡大が止まらない(1日、ブエノスアイレス)=ロイター

メイ英首相は離脱案への理解を呼びかけるが、反対派の拡大が止まらない(1日、ブエノスアイレス)=ロイター

加盟国のEU離脱手続きを定めたEU基本条約(リスボン条約)の第50条は「離脱の通知を一方的に撤回することを認めている」との見解を示した。EUや英政府の見解とは大きく異なる内容だ。

EUは1カ国による一方的な離脱撤回を認めれば「加盟国による離脱手続きの乱用につながる」(EU筋)と懸念する。離脱交渉の結果に納得できない場合は、撤回すればいいとの安易な判断で離脱表明する加盟国が相次ぐ恐れがあるためだ。

英国は4日から英・EU間で合意した離脱案を受け入れるかどうかを判断する審議を開始。11日に採決する予定だが、EU残留派と強硬離脱派の双方が合意案に反発しており、議会で過半数の賛成を得られる見通しが立っていない。

議会が否決した場合、企業や国民生活の混乱を伴う「合意なし」の無秩序な離脱を避けるには、EUとの再交渉や2019年3月末の離脱期限の先延ばしという選択があり得る。ただいずれもEUの承認が欠かせない。法務官の見解に沿った判決が出れば、英国の一存で離脱を撤回するという新たな選択が可能になる。

ただメイ氏はEU離脱を「国民の意思だ」と主張しており、再度の国民投票を経ずに離脱を撤回すれば批判は免れない。再投票を決断しても3月末の離脱には間に合わない公算が大きく、EUに離脱先延ばしを認めてもらう必要が出てくる。メイ氏の報道官は4日、「離脱方針を変えるつもりはない」との声明を公表した。

今回の見解はEU司法裁に対する法務官の意見陳述であり、正式な判決ではない。しかし過去のケースでは法務官の見解が最終的なEU司法裁の判決となる場合が多いとされている。

加盟国がEUを離脱する手続きはEU基本条約の第50条が定めている。英国は同条に基づき、17年3月にEUへ離脱を正式に通知。通知から2年後となる19年3月にEUを離脱する。また離脱時期変更はEUの全会一致の承認を必要としており、今の英国にとってはハードルが高い。

ただ基本条約では、いったん始まった離脱の手続きを他の加盟国の同意なしで取り下げられるかは定めていない。英離脱に反対するスコットランドの議員団が英国がEU離脱の通知を一方的に撤回できるかどうか司法判断を求めていた。

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