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仏政府、燃料増税延期へ デモ沈静化狙う

【パリ=白石透冴】フランス政府は2019年1月に予定していた燃料税の引き上げを見送る方針だ。仏メディアが4日、同日にも発表する見通しだと報じた。仏全土で続く燃料増税に端を発したマクロン政権への抗議デモの沈静化が狙い。ただ、フィリップ首相がデモの代表団に申し入れていた4日の面会は拒絶され、週末に計画されているデモを止められるかは不透明だ。

燃料増税は19年1月1日の実施を予定していたが、数カ月間の猶予期間を設ける見通し。増税先送りには議会の承認が必要になる可能性もあるが、野党は先送りを認めるとみられる。

マクロン政権はこれまで燃料増税は地球温暖化対策の一環だと訴えてきた。しかし、デモの長期化で観光など経済への悪影響が懸念される中、譲歩を迫られた格好だ。

事態収束に至るかは依然見通しが立たない。フィリップ氏は4日、首相府で蛍光の黄色いベストを着て参加する運動「黄色いベスト」の代表団約10人と会う予定だった。だが参加予定者は「公の場に行くことで、身の危険がある」などと主張して面会を拒否した。

面会が直前で流れるのは11月下旬に続き2回目だ。仏政府は対話でデモを落ちつかせる狙いだったが、あてが外れた。

フランスで現在、ガソリンの小売価格は1リットル当たり約1.6ユーロ(約200円)、軽油は約1.5ユーロだ。マクロン政権が始まった17年5月にはそれぞれ約1.4ユーロ、約1.2ユーロで、価格は実際に上昇している。

一方で値上げ幅の約3分の2は原油価格の高騰によるもので、残りは課税による。仏政府は18年1月にガソリン1リットル当たり0.038ユーロ、軽油で同0.076ユーロ増税した。19年1月にはさらにガソリンで同0.029ユーロ、軽油で同0.065ユーロの増税を予定していた。

現状では英国やドイツなどと比べて、目立って高いというわけではない。マクロン氏が進める構造改革には社会保障増税などが含まれており、暮らしが悪化したと感じる人たちが怒りを爆発させた。

実際SNS(交流サイト)を通じて広がった反政権運動だけに参加者個々の動機は燃料税引き上げにとどまらず、たばこ税、電気代への不満など幅広い。代表団だけをみても保険会社幹部、タクシー運転手など属性は様々で、労働組合のストなど従来型の運動と比べ意見集約が難しい。

「黄色いベスト」は8日にも次回のデモを実施する構えで、再度の被害が懸念される。3回の週末デモで仏全土で計4人が死亡しており、直近の1日のデモでは260人以上が重軽傷を負った。

パリのイダルゴ市長によると、1日のデモでは、器物が破壊されたことなどによる被害額は300万~400万ユーロ(約3億8千万~5億1千万円)に上った。

仏ラジオRTLの3日の報道によると、国民の72%はデモを支持しており、マクロン大統領は追い込まれている。19年5月の欧州議会選を意識し、野党は一斉にチャンスとみてマクロン氏批判を強めている。極右国民連合(元国民戦線)のルペン党首と、急進左派「不服従のフランス」のメランション党首は議会の解散総選挙を求めている。

特に国民連合はマクロン氏率いる与党・共和国前進を支持率で上回る勢い。マクロン氏に対する悪いイメージを広げることで、選挙での躍進を狙う。

共和国前進は国民議会(下院)で過半数を握っており、マクロン氏が総選挙などに応じる可能性は低い。年金制度の簡素化、起業支援、公務員削減などの各種法案を通す構えは変わらないが、世論の批判を受けて停滞に陥る可能性もある。

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