2018年12月16日(日)

電子商取引の国外差別禁止、EUで新法施行

ネット・IT
ヨーロッパ
2018/12/4 18:00
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は3日、EU域内の電子商取引を巡って、顧客の住む国によって販売を制限することを禁じる新法を施行した。EUの消費者がインターネット上で家電製品を購入したり、レンタカーを予約したりする場合、どの加盟国のウェブサイトでも、その国の住民と同じ条件で買い物できる環境を整える。欧州のデジタル市場の統合を進めるのが狙いだ。

EU域内の電子商取引の地理的制限の禁止法の発効をアピールする欧州委員会のアンシプ副委員長(11月30日、ブリュッセル)=欧州委員会より提供

EUが3日施行したのは「地理的制限(ジオブロッキング)」を禁止するEU規則(法)。地理的制限とは、電子商取引を手掛ける小売業者らが、顧客の住む国によって販売条件やサービスに不当な差を設けてオンライン販売を避けることを指す。

例えばフランスの消費者がドイツのサイトで商品を買おうとしてもアクセスできなかったり、商品配送できないことを理由に購入を拒まれたりする例がある。新法では(1)家電製品などの商品(2)クラウドサービスなど電子サービス(3)遊園地やコンサートのチケット、ホテルやレンタカー予約などのサービス――の3分野のネット販売で地理的制限を禁止する。EUの消費者はパソコンなどを最も安く買える加盟国のウェブサイトで、地元消費者と同条件で購入できるようになる。

「すべての消費者が同じ扱いを受ける真の単一市場の実現に向けた新たな一歩だ」。欧州議会で地理的制限の禁止法の責任者を務めたトゥーン欧州議員は同法施行の意義を強調する。EUの欧州委員会が2015年に実施した調査では、EU域内のウェブサイトの63%が何らかの地理的制限を設けていたという。

人、モノ、お金、サービスの自由移動を中心とする単一市場は欧州統合の柱。EUはデジタル市場でも加盟国ごとの規制や企業のサービスのばらつきを解消し、巨大な単一市場をつくり上げることを成長戦略の柱に掲げている。地理的制限の禁止もその一環で、3月に新法が公布されていた。

ただ「地理的制限」への消費者の不満が根強いオンラインゲームや音楽配信、電子書籍など著作権に守られているコンテンツを巡っては、今回の禁止法で対象に含めるのを見送った。

EUでは著作権改革を巡るEU指令(法)の改正案を巡って19年2~3月の成立に向けた調整が大詰めを迎えている。著作権の絡む分野は切り離し、新法の施行を優先した格好だ。新法では施行から2年後に地理的制限の禁止対象を音楽配信やオンラインゲームなどにも広げるかどうかを見直す条項を盛り込んだ。

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