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米金利で11年半ぶりに「長短逆転」 景気後退の影

【ニューヨーク=大塚節雄】米債券市場で期間の長い金利が短い金利を下回る「長短逆転(逆イールド)」が起き始めた。3日は5年物国債の利回りが2年債を11年半ぶりに下回った。注目される10年債と2年債の差も急縮小している。米利上げの打ち止め観測が強まり、米景気の先行きにも警戒感が芽生えているためだ。長短逆転は景気後退の予兆とされ、米金利の動向に関心が集まる。

3日は米長期金利の指標、10年物国債の利回りが2.97%に低下(債券価格は上昇)し、9月中旬以来の低水準となった。5年債の利回りにも低下圧力がかかり、終値では2.81%と横ばいだった。これに対し、2年債利回りは2.82%と前週末比0.03%上昇した。

この結果、5年債の利回りは2007年6月以来、11年半ぶりに2年債を下回った。長短金利差をみる代表的な指標である10年債と2年債の利回り差も0.15%で、前週末の0.2%から急縮小し、8月の0.19%を下回って07年7月以来の低い水準になった。

2年など期間の短い金利は目先の金融政策の動向に大きく左右される。5年や10年など期間が長めの金利は、もっと先の経済や物価、金融政策を巡る市場の見方を映して動く。金利は通常、期間が長いほど水準が高くなる。今回、長短逆転が起き始めたのは、目先は景気が堅調に推移し、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続けるとみられる半面、その先は景気や金融政策の不透明感が強まっているためだ。

長短金利の逆転は、先行きの景気後退を示唆するといわれる。市場が将来の景気後退や金融緩和を織り込めば、長期が大きく低下し、長短金利の逆転が起きやすくなる。

過去には逆転が定着したあと、ある程度の時間をおいて景気後退が発生してきた。10年と2年の金利差が前回逆転したのは05~07年のあたり。その後、住宅バブルが崩壊して金融危機が起き、景気は07年12月にピークをつけた。IT(情報技術)バブルが崩壊し景気が後退した01年の前年にも長短の逆転が起きた。

今回はどうか。10年と2年に関し、米モルガン・スタンレーのストラテジスト、マシュー・ホーンバック氏は19年中ごろに長短金利の逆転が起きると予測する。19年前半の10年債利回りは3%近辺にとどまる一方、「市場が3%を超える利上げに懐疑的になる」と想定する。19年前半の時点でFRBは利上げ継続の構えを崩さず、年央には2年債利回りが一時的に3%台に到達するとみる。

3日の米株式市場では1日の米中首脳会談で貿易戦争が「一時休戦」となったため株価が上昇した。FRBが12月に利上げを決める大きな障害がなくなった。2年債利回り上昇の主因だ。だが、利上げ路線がその先も続くかは明確でなく、10年債などの利回りには下向きの圧力がかかる。

FRB高官らは最近、相次ぎ早期の利上げ打ち止めをほのめかす。パウエル議長は先週、政策金利が景気をふかしも冷やしもしない中立金利に近いとの認識を示した。「距離がある」という以前の発言を修正した。

11月に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、19年以降の利上げに慎重論があった。財政や貿易に関わる政策の不確実性、ドル高の影響、海外経済の行方など下振れリスクの指摘も相次いだ。

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