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なぜ今? ウッズとミケルソンのマッチプレー

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

なぜ、今なのか?

唐突だった。マッチプレーの賞金は900万ドル(約10億1700万円)。しかも総取り。札束でほおを張るがごとく、男子ゴルフツアーで通算80勝のタイガー・ウッズと43勝のフィル・ミケルソン(ともに米国)を引っ張り出した。2人とも今季、2013年以来5年ぶりに勝利を挙げたのだから、話題性十分と。名付けて「ザ・マッチ」。

ようやく22ホール目で決着も…

ところが、結論からいえば、まったくの期待外れ。15年前ならまだしも……。

そのセンスのない企画は、米ラスベガスのシャドー・クリークGCというぜいを尽くしたスーパープライベートコースで行われたが、はなから感覚がずれているとしか映らなかった。

ミケルソン(左)とウッズによる対決は期待外れの結果に終わった=AP

それでいて、テレビで見ようとしたファンからは19.9ドルの視聴料を取ろうとしたのだから、たちが悪い。しかし、一部で技術的な問題が発生し、中継が見られないという事態に。結果的に無料で番組が開放され、お金を払った人には返金を迫られた。往々にしてありがちな結末である。

それでも試合が面白ければファンも納得する。得てして、企画の失敗は選手が救うのである。しかし……。

一応、テレビをつけた。これも仕事である。だがまるでダスティン・ホフマンとウォーレン・ベイティの二大俳優が出演しながら、残念なくらい面白くなかった「イシュタール」という駄作を見せられているかのよう。

見たことがない? 映画の方? ザ・マッチ? どちらもネットで探すまでもない。労力と時間の無駄だ。

両方を見た人には何がいいたいのかわかるだろうが、決着が22ホール目までもつれ込んだとはいえ、そこまでドラマチックだったわけではない。やっと、凡戦にけりがついたといったところ。試合の映像が、ゴルフの殿堂に送られることもないだろう。

象徴的だったのが1番。ミケルソンは自分がバーディーを取ることに10万ドルを賭けた。それにウッズが本当に取ったら倍の20万ドルを払ってやると挑発。取れなければ俺に20万ドルを払えと。結局、盛り上げるだけ盛り上げて、ミケルソンはバーディーを取れず。2番はミケルソンがものにしたが、ウッズが1メートルもないパーパットを外すという、信じられないミスでリードが転がり込んだ。

それでもインに入ってバーディーを取り合い、17番にリードされていたウッズがチップインバーディーを決めると歓声が沸いたが、見せ場はそこまで。

プレーオフ最初のホールでは、ウッズがおよそ2.4メートルのパットを外し勝ちを逃した。20ホール目はミケルソンが決めれば勝ちという6メートルのパットをミス。彼は続く21ホール目も、やはり決めれば勝利という3メートルのパットを外した。

22ホール目は夕闇の中、照明が届く範囲でということで90ヤード付近からティーショット。茶番も極まったが、ウッズが約3メートルのバーディーパットを決めればミケルソンにプレッシャーをかけられたもののそれをミス。ミケルソンが1メートルあまりのショートパットを決めて決着がついたが、なんとももどかしい展開だった。

試合からも遠ざかっていた2人が高いレベルの真剣勝負をできる状態ではなかった=AP

しかしながら果たして、彼らが悪いのか?

長いシーズンを終え、彼らはアジア遠征にも行かず、体を休めていた。試合からも遠ざかり、高いレベルの真剣勝負ができる状態ではなかった。そもそも彼らは900万ドルがほしかったわけではないだろう。その一部が彼らの選んだチャリティーに寄付されることになっており、それならと久々にクラブを握ったのではないか。

経緯はともかく悪名は無名に勝る

ただ、そんな中でもポジティブな面がなかったわけではない。

ソーシャルメディアの世界では、意外にもイベントがトレンドとなったそう。多くは冷やかすような内容だったが、当日は感謝祭翌日の大セールが行われる日(ブラックフライデー)と重なった。人々の興味はショッピングにあり、本来であれば、ゴルフのニュースなど片隅に追いやられてしまうところ。しかし、無料視聴になったこともツィッターなどであっという間に広まり、買い物に疲れたファンがチャンネルを合わせた。

もちろん、どれだけの人が最後まで見たかはわからないが、感謝祭の休みの期間にこんなにゴルフが話題になったことがあっただろうか。経緯や経過はどうであれ、悪名は無名に勝るのである。

ちなみに過去にも一度、感謝祭でゴルフが話題になったことがあった。

ウッズの浮気がばれ、夫人から逃げようと車に飛び乗ったのはいいが、道路脇の消火栓と木にぶつかったのは、09年のことだった。

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