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いにしえ人の息遣い感じる 「歴ラン」のすすめ

ここ数年で全国各都市にフルマラソンの大会が新たに創設され、ランニングブームと言われていた。最近は定員割れする大会もあり、その傾向にはブレーキがかかっているようだ。自分の周囲にもランニングから遠ざかっている人を見かける。その多くはタイムに気をとられて走るのが嫌になったとのこと。確かにタイムの更新ばかり追いかけているとランニングは苦行になってくる。

そのような場合、ぜひとも「旅ラン」を楽しんでほしい。旅ランに確固たる定義はない。見知らぬ土地を気軽に楽しむランニングスタイルを指してこう呼んでいる。旅ランのポイントは一日のランニング距離の範囲、エリアを楽しむことであり、途中の見所には長居せずにあくまで移動の過程を楽しむことにある。桜の名所めぐりなど季節ごとの花の名所めぐりもいいだろうし、スイーツランとして地域の食べ歩きをするのも楽しい。

旅ランでもとりわけ私がおすすめしたいのはいにしえの史跡をテーマとした「歴ラン」だ。日本はコンパクトなエリアの中にさまざまな歴史的遺産があり、気軽にランニングを楽しめるルートを見つけやすい。例えば山間部を通る中仙道や、紀伊半島の巡礼道である熊野古道はゆうに千年以上の歴史があり、現在でも往時のままの区間が残っている。

このような古道巡りは道々に茶屋の跡や旅の安全を祈る石仏、時には亡くなった旅人の墓などいにしえ人の姿を思いおこさせる跡があり、走っているうちにその時代へタイムスリップしたような不思議な気持ちにさせられる。

関ケ原や川中島などの合戦地など古戦場を巡ってみるとする。数百年前にこの地で大勢の人々が命の駆け引きをしたのだと思うと、現代の私たちがいかに幸せであるかを再認識し、平和のありがたみを改めて感じることができるだろう。

おそらく歴ランの王道は京都であろう。もちろんお気に入りの史跡をたどるのもいいけれど、明智光秀が本能寺を焼き打ちしたルートや、新撰組が壬生の屯所から襲撃した池田屋までの道のりで彼らが何を考えていたのかと心境に思いをはせてみるのも楽しい。東京都内であれば赤穂浪士が討ち入りした吉良邸跡から泉岳寺までのルート、距離が長く山岳ルートも含むものの坂本龍馬が脱藩した道、またルートは諸説あるが徳川家康が紀伊半島を横断して三河国(愛知県)へ帰還した「伊賀越え」など一つの出来事や人物をテーマにたどると楽しみが増える。

歴ランは普通のランニングでは味わえない感慨やいにしえ人の息遣いを感じるだけでなく、彼らと同じ景色を見ることで現代を生きる私達に新たな気づきの機会を与えてくれる。きっとあなたのランニングの楽しみをより一層膨らませてくれるはずだ。

(プロトレイルランナー)

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