2018年12月11日(火)

インドネシアで襲撃事件、31人殺害 パプア独立派の犯行か

東南アジア
2018/12/4 16:07
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【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシア国家警察は4日、インドネシア東部ニューギニア島(パプア島)のインフラ工事現場で武装集団による襲撃事件があったと発表した。地元報道によると、31人が死亡した。インドネシアからの分離独立を目指す武装集団による犯行の可能性もあるとみて、国家警察や国軍は現地に部隊を派遣した。

インドネシアで禁止されている「パプア独立旗」のペイントを施し、デモ行進するパプア人の活動家(1日、スラバヤ)=AP

ニューギニア島は西部がインドネシア領で、東部がパプアニューギニアとなっている。西部では1960年代からインドネシアの支配に反発し、独立を目指す武装集団「自由パプア運動」が活動を続けているが、2014年のジョコ政権発足後、大規模な襲撃事件などは起きていなかった。

地元警察や報道などによると、事件は2日に同島西部パプア州の橋の建設現場で発生した。国営建設会社の現場作業員31人が銃撃されるなどして死亡したという。

ジョコ政権はインドネシア国内の経済格差解消のため、経済開発の遅れていたニューギニア島に多額のインフラ開発予算を投入し、道路や港湾、発電所などのインフラを開発してきた。今回襲撃された現場もジョコ大統領の肝煎りで始まった島を横断する国道の建設現場だった。

ジョコ氏は4日、記者団に対し、「同地にはまだ安全保障上の課題がたくさんある」と述べた。ジョコ氏が進める同島開発による地域間格差解消という政策も停滞を余儀なくされる可能性もあり、政権には打撃となる。

ニューギニア島西部は先住民のパプア人が住む地域で、インドネシアが独立戦争をへて1949年にオランダからの独立を達成した後もオランダ領にとどまった。オランダ主導で独立を模索したが、62年にインドネシアが武力介入し、69年にインドネシアの強い影響下で行われた住民投票で同国に帰属することが決まった。

パプア人を中心とする独立派はこうしたインドネシアの強硬姿勢に反発し、63年に自由パプア運動を結成してゲリラ活動を展開した。国軍・警察施設への襲撃や経済権益への襲撃を繰り返し、多数の死傷者が出た。一方、インドネシア側も独立運動に徹底した弾圧を加え、民間人を含む多数の死者が出て、人権団体から厳しく非難された。人権団体によると、60年代から現在までに10万人を超えるパプア人が殺害された可能性があるという。

ジョコ氏が2015年に外国記者の訪問の自由を認めるまで、報道も厳しく規制されていた。現在も取材目的での入境には警察などの許可が必要な場合が多く、事実上の報道制限が続いているとの指摘もある。

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