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違法イカ漁、北方に拡大 北朝鮮船か漂着は昨年の1.6倍

北朝鮮の漁船とみられる木造船の漂流・漂着が急増している。今年は11月末までに169件で、2013年以降で最多だった昨年の1.6倍。背景に日本海で違法にイカ釣り漁をしている漁船の増加があるとみられ、日本の漁獲量に大きな打撃を与えている。侵入範囲は国が監視を強化した海域のさらに北方に拡大し、船も大型化するなど操業に影響が出ている。

能登半島の北北西約300キロにあるイカの好漁場「大和堆(やまとたい)」。さらに北方の青森県西方沖で10月中旬の朝、山形県漁業協同組合に属するイカ釣り漁船は約1千隻の漁船を目撃した。船の甲板にはびっしりと並んだイカ。投石してくる船もあり、北朝鮮から来た漁船とみられるという。

同漁協に所属する3隻のイカ釣り漁船の6~10月末の漁獲量は昨年比で3割も減少。西村盛参事(51)は「全てが北朝鮮漁船の影響かは断定できない」としつつ、「被害額は3隻で1億円を超える。会社経営に関わるレベルの深刻な被害だ」と憤る。

同漁協によると、北朝鮮から来たとみられる漁船は昨年は9割が木造船だったが、今年は3分の1程度が鋼船で大型化しているという。「昨年の日本海域でのイカ漁に味をしめて大型船で来ているのではないか」とみる西村参事は「来年は北海道沖まで侵入されかねない。国は拿捕(だほ)など取り締まりを強化してほしい」と訴える。

石川県漁協の担当者も「操業に支障が出ている」と話す。所属する漁船が10月中旬、北海道沖から南下中、大和堆の北方でハングル文字などが書かれた木造船や鋼船を約2千隻確認。「引き返すしかなかった」といった報告を受けたという。

海上保安庁や水産庁は17年に北朝鮮とみられる漁船が大量に侵入したため今年はイカ釣り漁期前の5月下旬から巡視船などを大和堆周辺に派遣。海保の退去警告数は10月は174隻と昨年の半分以下に減ったが11月は214隻と昨年の1割増。今年の警告数は計1600隻以上に上っている。

水産庁によると、北朝鮮とみられる漁船は7月下旬以降、大和堆周辺から北方にも操業を拡大。10月中旬には多数の北朝鮮から来たとみられる漁船が津軽海峡西の日本の排他的経済水域(EEZ)内に侵入し、同庁は漁業取締船を配置するなど排除に当たっている。

海保によると、北朝鮮漁船とみられる木造船の漂流・漂着件数は1~11月末で169件。大和堆以外にも訪れる漁船が相次ぐ中、すでに過去最多だった昨年の104件を大きく上回っている。稚内海上保安部によると、船内からイカの入った麻袋が見つかった船もあったという。

聖学院大の宮本悟教授(国際政治学・北朝鮮研究)は「経済制裁で中国への輸出は難しく、外貨獲得手段とは考えにくい」と指摘。「経済情勢が上向き、イカは健康志向の富裕層の間で人気も高まっている。朝鮮半島近海でイカが不漁で、大型船も日本の海域まで侵入しているのではないか」とみている。

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