2018年12月13日(木)

豪雨被災の品を元通りに 絵画修復士ら報告展、岡山

西日本豪雨
中国・四国
社会
2018/12/4 9:06
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岡山市の「絵画修復工房YeY」の修復士、斎藤裕子さん(42)と今村友紀さん(37)は8月から約2カ月間、西日本豪雨で浸水被害に遭った絵や写真、母子手帳など思い出の品を無償で元の状態に戻す活動を続けてきた。最初の大雨特別警報から6日で5カ月。修復品を展示する活動報告展を8日から岡山市で開く。

持ち込まれた日記の修復作業をする斎藤裕子さん(右)と今村友紀さん(岡山市)

2人はともにイタリア・フィレンツェの専門学校で技術を学んだ。帰国後の2006年、岡山県倉敷市に工房を設立し、翌年に岡山市へ移転。美術作品の保存修復を手掛けてきた。

西日本豪雨に見舞われた今年7月。広島県で娘と孫を亡くした男性が家の前で立ち尽くしている姿をニュースで目にした。手には孫が描いた絵。「自分にもできることがあるのでは」と、思い出の品を修復するボランティア活動を思い立った。

8月上旬から倉敷市の寺に間借りして活動を開始。傷んだ家族写真や絵、日記、母子手帳……。真備町地区の約30世帯から、作業場に足の踏み場がないほどの品々が寄せられた。一つ一つ乾燥させ、ほこりやカビを取り除く地道な作業を続けた。

活動を始めた頃、1枚の絵はがきを持ち込んだ女性がいた。「もっとたくさん持ってきてもいいですよ」と斎藤さんが声を掛けると、女性は「ほとんど処分してしまって、これしかもう残っていないんです」と寂しそうにつぶやいた。「もう少し早く活動を始めていればと後悔が残った」と斎藤さんは振り返る。

その後も場所を変えて活動を続けてきた斎藤さんらは、経験を今後の災害に役立てようと活動報告展「一枚のはがき」を企画。修復した写真や絵画などの展示のほか、自宅でできる簡単な応急処置も紹介することにした。斎藤さんは「大切なものでも早い段階で処分してしまう人が多い。参考になれば」と話す。

修復品は年内をめどに被災者へ返却を始める予定。斎藤さんは「被災者の方に返すときがきっと一番うれしい瞬間だろうな」と笑顔を見せた。〔共同〕

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