2019年2月22日(金)

OPECの求心力低下 カタール脱退、サウジと断交背景

環境エネ・素材
中東・アフリカ
2018/12/3 22:14
保存
共有
印刷
その他

【ドバイ=岐部秀光】ペルシャ湾岸の産油国カタールが石油輸出国機構(OPEC)からの脱退を決めた。OPECの盟主サウジアラビアとカタールの長引く断交や、中東におけるサウジとイランの覇権争いが背景になったとみられる。アラブ産油国の脱退は初めてで、シェアの低下に直面するOPECの求心力は一段と弱まりそうだ。

アラブ産油国のOPEC脱退は初めて(5月、サウジアラビアの石油精製施設)=ロイター

アラブ産油国のOPEC脱退は初めて(5月、サウジアラビアの石油精製施設)=ロイター

「国際エネルギー市場におけるカタールの役割と貢献を見直したい」。カタールのアルカービ・エネルギー担当相は3日の記者会見で語った。

カタールは原油の産出量こそ少ないが、一方で有力な天然ガスの産地であり、液化天然ガス(LNG)の輸出量は世界最大だ。カタールがOPECの一員であることは、エネルギー市場におけるOPECの決定に大きな重みをあたえてきた。脱退はOPECにとって大きな打撃となる。

カタールは3日、OPEC脱退にあわせて、LNGの輸出量を現在の年7700万トンから年1億1000万トンに数年で引き上げる計画を発表した。今後OPECの原油政策の制約から離れ、独自のガス戦略に一段と傾斜する立場を鮮明にした。

OPECの政策合意がカタールのガス戦略に直接の影響をおよぼす法的な効力はない。しかしサウジは、カタールがOPECの枠外で天然ガスの生産施設を急拡大したことに不満を強めていた。

14年をピークとする原油価格の低迷を背景に、サウジアラムコなど国営石油会社は上流部門の投資を抑制してきた。世界経済の減速や中国経済の質の転換を背景にエネルギー需要は後退するとの見方が広がるなか、今後、OPECとガス生産国のシェア争いが激化する可能性がある。

OPECの求心力の源は、盟主であるサウジを核とするアラブ産油国の結束にあった。1973年の第1次石油危機は、OPECのアラブ産油国が特定の国を狙い撃ちにした禁輸政策を取ったことで引き起こされた。

サウジはムハンマド皇太子が著名記者殺害事件に直接的に関与した疑いで国際社会の批判を浴びる。皇太子の権威が傷つけられたサウジのアラブ諸国への指導力はさらに低下する可能性がある。

カタールの当局者は否定するが、脱退の決定にはサウジが主導した断交問題が影響したのは確実だ。17年6月、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国がカタールに一方的に国交断絶を表明した。カタールがイスラム原理主義勢力「ムスリム同胞団」を支援したことや、イランと親密な関係を維持していることが理由だった。

しかし経済封鎖で苦境に立ったカタールはイランから食糧支援を受けて危機をしのぎ、かえって両国が接近する皮肉な状況を招いた。カタール沖合の「ノースフィールドガス田」は海底でイランの「南パルスガス田」とつながる。国富の源である資源を共有する両国は切っても切れない仲だ。

イランが近い将来にOPECから離脱する可能性は低いとみられるが、サウジとの対立はOPECの政策の安定性に影を落とす。米制裁による禁輸で輸出が減る分をサウジなどが補う構図にイランは反発を強める。

主要産油国は6日にウィーンで開くOPEC総会で、原油価格が10月初めの高値に比べ3割下がっているのを受け、減産で合意したい考え。

ただOPECの価格支配力にはかげりも指摘される。1973年のピークに53%あった世界生産に占めるOPECのシェアは40%程度まで下がった。天然ガスだけでなく、太陽光や風力などへのエネルギーの転換も予想を上回るペースで進む。米国のシェール革命はOPECの価格支配力に決定的な打撃をあたえた。

カタールは人口約260万人の小国。1970年代に発見された世界最大級のガス田が生み出す富を背景に急速な発展を遂げた。22年に中東初となるサッカーのワールドカップ(W杯)を開く。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報