2019年1月16日(水)

東名あおり事故、被告側が無罪主張 危険運転致死で攻防

2018/12/3 18:19 (2018/12/3 21:01更新)
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2017年6月、神奈川県大井町の東名高速道路で、あおり運転で停車させられた家族4人が死傷した事故。3日に横浜地裁(深沢茂之裁判長)で初公判が開かれた石橋和歩被告(26)の裁判員裁判では、停車時の事故で危険運転致死傷罪が成立するか否かが争点となっている。

検察側は冒頭陳述で「停車と妨害運転は一連の行為で、因果関係がある」と強調。弁護側は停車後の事故で危険運転致死傷罪には問えないとして同罪については無罪を主張した。

 東名高速道路下り線の事故で移動される車両=2017年6月、神奈川県大井町(車のナンバーを画像加工しています)=共同

東名高速道路下り線の事故で移動される車両=2017年6月、神奈川県大井町(車のナンバーを画像加工しています)=共同

検察側は被告の車の全地球測位システム(GPS)の解析などをもとに作製した図面を示しながら、事故状況を詳述。冒頭陳述などによると、被告が700メートルの間に4回進路を妨害し、車線上に被害者の車を停車させた。その際、石橋被告の車との車間距離は約2メートルしかなかった。その後、「殺されたいのか。高速道路に投げ入れてやろうか」などと被害者に詰め寄ったとされる。

検察側は、交通量の多い車線上に停車させた行為は危険運転致死傷罪の「重大な危険を生じさせる速度」との構成要件を満たすと指摘。被告は被害者に文句を言おうという一貫した意思があり、「停車とその前の妨害運転は一連の行為で、死亡との因果関係がある」と主張した。予備的訴因として追加した監禁致死傷罪については「監禁される場所が区画されておらず時間が数分であっても成立する」と述べた。

一家の車に追突したトラックの運転手による「車に気づいて急ブレーキをかけ左にハンドルを切ったが止まりきれなかった。車間距離を十分に取っていなかった」との供述調書も明らかにした。

東名高速あおり運転事故 検察、弁護側の主張

東名高速あおり運転事故 検察、弁護側の主張

同日、石橋被告は黒いジャージー姿で出廷。罪状認否では事故に至るまでの一連の行為をおおむね認める一方「左ではなく右側から追い越した」「つかんだのは胸ぐらではなく左腕」などと小声で細かな点を否認した。

弁護側は冒陳で危険運転致死傷罪について、「車を止めた後の事故で適用されない」と訴えた。監禁致死傷罪も「停車時間が短く監禁に当たらない」と争う姿勢を示した。裁判員らには「予断を持たずに判断してほしい」と求めた。

初公判傍聴後に記者会見する被害者、萩山嘉久さんの母、文子さん(3日、横浜市)。「なぜ事故につながったのか知りたい」と語った。

初公判傍聴後に記者会見する被害者、萩山嘉久さんの母、文子さん(3日、横浜市)。「なぜ事故につながったのか知りたい」と語った。

交通犯罪に詳しい同志社大の川本哲郎教授(刑事法)は「被告の運転で危険な道路上に停車させられ、事故につながったと考えられる」と話し、危険運転致死傷罪との因果関係が認められる可能性があるとした。

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