安川電機、工場のサイバー化で生産効率を3倍に

2018/12/3 14:47
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安川電機は3日、あらゆるモノがネットにつながるIoTを活用した次世代型工場を公開した。自動化を徹底し、人工知能(AI)も活用して生産効率を従来の3倍に向上させたのが特徴だ。

モーターの組み立て工程を7つのセルに分けて多品種を1個ずつ生産できる(埼玉県入間市の安川ソリューションファクトリ)

新工場の名称は「安川ソリューションファクトリ」。入間事業所(埼玉県入間市)内にあり、産業機械の駆動に使うサーボモーターやアンプ計約1000種類を月約10万台生産する。

ここでは自動化とIoT化を徹底している。生産中の製品は工程内の生産データが収集できるソフトウエア「YASKAWA Cockpit」を通じ、オーダーごとではなく1品単位で進捗を管理する。18台の無人搬送車(AGV)が自動倉庫と通信し、必要なときに必要な分だけの材料をラインに搬送する。

製造ラインに導入した約30台の産業用ロボットは製品に応じて組み立て装置を自動で取り換え、様々な製品を作り分けられる。熟練工の技が必要になる「エンコーダー」と呼ばれる精密機器の調整作業も、AIを使ったビッグデータ解析で工数を約45%減らした。

これらで人手を従来の3分の1にあたる約100人に減らしながら生産速度を3倍に高め、しかも1000種類の製品を1品から作り分けられるラインを完成させた。

サーボモーターなどを手掛けるモーションコントロール事業部長の熊谷彰執行役員は「工場のあるべき姿を描くことがこの工場の目的だ。お客様に見てもらうことで安川のロボットやサーボモーターの販売につなげていきたい」と意気込む。

深刻な人手不足やIT技術の急速な発展を背景に、製造業で次世代型ともいうべき新型製造ラインを導入する例が増えている。ポンプ大手の荏原は18年、同社の藤沢事業所(神奈川県藤沢市)に産業用ロボットを使ったポンプの組み立て自動化ラインを設置した。

5~6人でこなしていた仕事を4台のロボットに置き換えた。従来ロボットでは難しいと思われていたが、センサーやカメラなどの技術とコンピューターの処理能力の発達が自動化を可能にした。100分の1ミリメートル単位の精度が要求される金属の組み付け作業も、わずかな力のかかり具合の違いをロボットが読み取り、正確にこなしている。

工場のサイバー化が広がる一方で、課題となっているのが担い手となるIT(情報技術)人材の不足だ。特に日本のものづくりの中核を担う中小企業にはIT知識のある人材が足りず自動化やIoT化に踏み出せない例は少なくない。

仕事を請け負う外部のシステムインテグレーターも大口案件が優先され、中小企業までは手が回らないのが実情だ。

これに対し安川電機の熊谷執行役員はゲーム感覚でロボットの動きをプログラミングできたり、IoTシステムを使って集めたデータをよりわかりやすく表示したりするなど「中小企業を支援する動きもやっていこうと思っている」と話す。

生産設備メーカーにとっては製品の高速性や信頼性だけでなく、いかに使いやすいシステムかをアピールできるかも勝負のカギとなりそうだ。

(企業報道部 井沢真志、北九州支局長 山根清志)

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