武田薬品のシャイアー買収、反対派株主が会見

武田薬品工業が進めているアイルランドの製薬大手シャイアーの買収を巡り、反対派株主らが3日、都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。会見には武田薬品創業一族の武田和久氏らが出席。和久氏は英語で「M&A(合併・買収)は必要だが、今回は財務的なリスクが高い」と説明。5日に開かれる臨時株主総会を前に、株主や機関投資家向けに支持を訴えた。
武田薬品は5月にシャイアーに対して約460億ポンド(約6兆8000億円)で買収を提案している。買収対価は現金約3兆円と4兆円相当の武田の新株となる。5日に大阪市で開く臨時総会では、新株発行について株主の3分の2以上の同意を得られれば議決される。新株発行が決議されればシャイアーの買収手続きが始められる。
この買収に対して武田薬品のOBら130人で構成する有志団体「武田薬品の将来を考える会」が反対している。武田和久氏はこのメンバーの一人で、「以前に社長、会長を務めた武田国男氏も(反対に)同意してくれた」と強調。国男氏をはじめ多くの創業一族も同じ考えだと説明した。
ただ「創業家をあわせても数%程度。個人株主の支持を含めて20%以上を集めたいが、現状は悲観的だ」と説明する。武田の株式の66%を保有する国内外の機関投資家が、賛否の投票を棄権することに期待をかけているという。
和久氏は武田薬品の成長に向けてかつてクリストフ・ウェバー社長と話し合う機会をもったといい「ミディアムサイズのM&Aでもいいものはある。彼はそのことを『理解した』と言っていたが、直後に今回の巨額買収を発表した。非常にショックを受けた」と経営陣への不信感も話した。
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