2018年12月14日(金)

仏マクロン政権窮地 パリ・南仏でデモ、130人超死傷

ヨーロッパ
2018/12/3 7:05
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【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領が、2017年の就任以来最大の危機を迎えている。マクロン氏に反発する1日の仏各地のデモで、南仏で1人が死亡、パリで130人以上が重軽傷を負った。デモは3週末連続で、収束の気配はみえない。企業の投資判断などにも影を落とすおそれがあり、仏政府は非常事態宣言を約1年ぶりに発令する検討を始めた。

仏メディアによると、南仏アルルでデモに関連した交通事故が起き、男性1人が死亡した。この運動が起こって以来の死者は計3人になった。

1日のパリでは治安部隊23人を含む少なくとも133人が重軽傷を負った。デモ隊が自動車に火を放ったり石を投げたりしたため、治安部隊は催涙弾を撃って鎮圧にあたり、412人を拘束した。

マクロン氏は20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため訪れていたブエノスアイレスで1日、「意見の違いは尊重するが、暴力は絶対に認めない」と強く非難した。

運動は蛍光の黄色いベストを着ることから「黄色いベスト」と呼ばれる。11月に入ってネット上で盛り上がり、実施は3週末連続。すでにネット上では4回目を「8日朝からシャンゼリゼ通り」などで強行するとの呼びかけが始まった。

当初は燃料価格の高騰や19年1月に予定されている燃料税引き上げに反対するデモだった。ただ、今はそれだけでなく、社会保障増税やたばこ値上げなどマクロン改革全体に不満を持つ人が集まっている。

フランスの燃料税に反対するデモで130人超が負傷した(パリ)=ロイター

フランスの燃料税に反対するデモで130人超が負傷した(パリ)=ロイター

マクロン氏は就任して1年半あまり、財政再建と企業活動の活性化を2本柱として改革を進めてきた。

先進国の中でも特に多い公務員を12万人減らし、財政赤字の削減をめざしている。法人税を33.3%から段階的に25%にし、解雇時に企業が支払う罰金に上限を設けて雇用・解雇を促した。

しかし、労働者層は富裕層が優先的に恩恵を受けると受け止めている。ドイツなどと比べて高い失業率はマクロン氏就任以来9%台で変わらず、若年層も失望感を抱いている。マクロン氏へのこうした不満がデモの呼びかけに共鳴した格好だ。

マクロン氏は11月下旬に緊急の記者会見を開き、デモ参加者に政策への理解を求めたばかりだった。

仏政府はデモを抑えるため、人の往来や集会などを制限できる非常事態宣言を発令する検討を始めた。カスタネール内相は1日、仏メディアに「タブーはない。全ての措置を検討する」と明言した。

発令すればパリ同時テロが起きた15年から17年に続き、1年ぶりになる。ただ企業の投資が減ったり観光客が減ったりする副作用もあり、発令の是非は慎重に判断する。フィリップ首相は近く、運動の代表者と面会する予定で、対話を呼びかける考えだ。

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