サウジ皇太子、記者殺害前後に側近と連絡か 米報道
【ワシントン=中村亮】サウジアラビア人の記者殺害に同国政府が関わった事件に関連し、事実上の最高権力者のムハンマド皇太子が実行に関わった側近と事件前後にメールで連絡を取っていたことが明らかになった。トランプ米大統領はサウジとの同盟関係を重視して事件の幕引きを図るが、米議会は皇太子の関与を示す証拠になりうるとして追及を強めそうだ。
複数の米メディアが2日までに米中央情報局(CIA)が確認した情報として報じた。ムハンマド皇太子が連絡を取っていたのは元王室顧問のサウド・カハタニ氏。CIAはムハンマド皇太子が連絡を取っていたとの情報をホワイトハウスや一部の議会関係者にすでに説明した。メールの内容は明らかになっていないが、カハタニ氏は米政権が11月中旬に事件への関与を理由に発動したサウジ制裁の対象になっている。
議会は、各国の捜査当局と連携してきたハスペルCIA長官に事件の経過や捜査情報の評価について説明を求めている。ハスペル氏は11月28日の上院での非公式会合を欠席し、与野党から批判を浴びた。ムハンマド皇太子の関与を断定しないトランプ氏と見解が異なる可能性があり、議会ではホワイトハウスがハスペル氏の出席を拒んでいるとの見方が根強い。
議会はサウジとの同盟関係を優先する米政権に圧力を強める。上院は週内にも、イエメン内戦に介入するサウジ軍に対する軍事支援を停止するよう求める決議案の本格的な審議に入る。審議入りを決める採決では、トランプ氏が率いる共和党からも14人が賛成に回っており、サウジ強硬論は超党派の様相を呈している。
一方、トランプ氏は米・サウジの経済や安全保障協力を継続する考えを示している。1日に閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会議の合間には短時間の会話を交わし、11月下旬には地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の売却でサウジ政府と合意していた。