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ワイルダーはドロー 世界ヘビー級統一戦は混沌と
スポーツライター 杉浦大介

2018/12/3 6:30
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世界ヘビー級新旧王者による対決は決着つかず――。12月1日(日本時間2日)、米ロサンゼルスのステープルズ・センターで行われた世界ボクシング評議会(WBC)ヘビー級タイトル戦は劇的な展開になった。元王者タイソン・フューリー(英国)が軽快なアウトボクシングでペースをつかめば、王者デオンテイ・ワイルダー(米国)は第9ラウンドに右パンチでダウンを奪って反撃する。そして、最終回にドラマが待っていた。ポイントではやや不利だったワイルダーが、あらん限りの右ストレートと返しの左フックで2度目のダウンを奪う。まるでハリウッド映画のシナリオのような展開に、1万7698人の大観衆は騒然となった。

ワイルダー(右)とフューリーの対決はドローに終わった=ロイター

ワイルダー(右)とフューリーの対決はドローに終わった=ロイター

結局、波乱の一戦は判定にもつれ込んだ。3人のジャッジの採点が注目されたが、1人が115―111でワイルダー、もう1人が114―112でフューリー、そして残る1人が113―113の両者引き分け。結果は三者三様のドローに終わり、33歳のワイルダーは8度目の防衛を果たした。30歳のフューリーの王座復帰はならなかった。

「2人の戦士がハートをむき出しにして戦った。ただ、2度もダウンを奪ったのだから、私が勝っていたと思う」

母国のリングで引き分けたワイルダーの表情と言葉からは、無敗記録とタイトルを守った安堵と同時に、2度も倒しながら勝ちきれなかった悔恨がにじんだ。この試合に期待を寄せた多くのファン、関係者の中にも複雑な思いはあったかもしれない。スリリングなファイトが見られた喜びと、ヘビー級の「物語」が前に進まなかったことに対する残念な思いが去来したようにみえるからだ。

「米国内で近年最大のヘビー級戦」。40戦全勝(39KO)のワイルダーと27戦全勝(19KO)の元王者フューリーの激突は戦前からそんなふうに言いはやされた。盛り上がったのは米英の人気選手同士の対戦だからというだけではない。この試合の勝者は、デビュー以来22戦全勝(21KO)の快進撃を続け、世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)、世界ボクシング機構(WBO)王座を保持するアンソニー・ジョシュア(英国)との最終決戦にコマを進めると思われていた。しかし、いわゆるワイルダーとフューリーによる“準決勝"がドローに終わり、今後の展開は一段と読みにくくなったといえる。

ジャッジ3人の判定は割れた=ロイター

ジャッジ3人の判定は割れた=ロイター

「百パーセント再戦する。俺たちは2人の偉大なチャンピオンなのだから」

フューリーがそう述べている通り、ファンを喜ばせる激闘を演じた両雄は即座の再戦に向かうのか。それともタイトルを守ったワイルダーはそのままジョシュア戦に臨むのか。あるいは別の流れが待ち受けているのか。

ワイルダーにとって起死回生となった最終回のダウンが引き金になって、4団体統一戦に向かっていたヘビー級のシナリオはさらに混沌としたようだ。ワイルダー、フューリー、そしてジョシュアという3人の無敗王者をめぐる争いから、もうしばらく目が離せそうもない。

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