2018年12月19日(水)

米、中国への追加関税を90日猶予 首脳会談で合意

トランプ政権
貿易摩擦
経済
中国・台湾
北米
2018/12/2 11:18 (2018/12/2 14:26更新)
保存
共有
印刷
その他

【ブエノスアイレス=河浪武史、永井央紀】米中両国は1日開いた首脳会談で、米国が中国への追加関税を猶予すると決めた。米中は貿易問題で協議を続け、中国の知的財産保護などで妥結点を探る。米側は90日以内と期限を区切り、合意できなければ2000億ドル分の中国製品の関税率を10%から25%に引き上げる。交渉決裂による貿易戦争の激化は回避したが、関税撤廃など完全解決には至っていない。

トランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席は約2時間半、アルゼンチンで夕食会形式の首脳会談を開いた。両首脳が直接対談するのは、2017年11月に北京で開いて以来。トランプ氏は会談後に「実りの多い協議だった」などとする声明を発表した。

米国はこれまで3回にわたって計2500億ドル分の中国製品に制裁関税を発動した。第3弾の2000億ドル分は年末商戦が終わる19年1月以降、関税率を10%から25%に引き上げる予定だった。トランプ政権は1月以降の関税引き上げを猶予し、関税合戦の激化をひとまず回避する。

米国側の発表では、発動猶予は中国の構造改革が条件としている。(1)米企業への技術移転の強要(2)知的財産権の保護(3)非関税障壁(4)サイバー攻撃(5)サービスと農業の市場開放――の5分野で協議し、90日以内に結論を得るとした。それまでに合意できなければ、2000億ドル分の関税は10%から25%に引き上げる。

中国側は関税引き上げの猶予に加え、米国が現在25%の関税を課している第1弾、第2弾の500億ドル分の制裁措置を「取り消す方向で協議する」(王受文商務次官)とした。中国側の発表は具体的な協議期限を示しておらず、サイバー攻撃や技術移転の強要など具体的な交渉項目に触れるのも避けた。

貿易不均衡の是正をめぐっては、中国は対米貿易黒字を減らすため、米国産の農産品やエネルギー、工業製品などを「大量に購入する」ことで合意した。農産品については「すぐさま購入を開始する」とした。中国の王毅・国務委員兼外相は1日、日本経済新聞など一部メディアの取材に対し「中国は輸入を拡大し、貿易不均衡を徐々に解決したい」と述べた。

米国は7月、知的財産権の侵害などを理由に中国に制裁関税を発動し、中国もすぐさま報復措置に打って出た。二大経済大国が高関税を課す異例の貿易戦争に、世界は強い不安を抱いていた。米中はひとまず短期の「休戦」で合意に達したが、制裁関税そのものは継続され、貿易戦争の終結にはなお時間がかかる。

また、トランプ政権が強く求めていた先端産業育成策「中国製造2025」の見直しは協議の対象とするのを見送った。産業補助金の撤廃など米側のこれまでの要求は声明に盛り込まれていない。中国の国家資本主義の柱である産業補助金の見直しは、習政権が「認めない」と強く反発しており、同分野の扱いは玉虫色となった。

首脳会談は開始時間を急きょ1時間前倒しして踏み込んだ議論を交わした。習氏は会談の冒頭で「米中の平和と繁栄は両国の協調関係によってのみ築ける」と関係改善に意欲をみせていた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報