2019年6月26日(水)

「WTO改革必要」 G20首脳宣言要旨
次回大阪G20で進捗検証

2018/12/2 7:29
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アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議は1日(日本時間2日未明)、首脳宣言を採択して閉幕した。宣言の要旨は以下の通り。

初めての20カ国・地域(G20)首脳会議から10年がたった。我々は人間を中心とし包括的で先を見据えた議題を通して、公正で持続可能な発展のための合意形成に向け、2018年11月30日から12月1日にアルゼンチンのブエノスアイレスで会合した。

今年は仕事の未来、開発のためのインフラ、持続可能な食料の未来、G20の議題におけるジェンダーを主流化する戦略に重点的に取り組んだ。

我々は対話と共通の立場の模索を促進しつつ、議題に取り組んできた。合意の構築には社会全体としてのコミットメントを必要とする。我々の議論はステークホルダーへの関与により強化されている。

我々は世界経済の強固な成長を歓迎する一方で、各国間の経済成長が同時に連動しなくなっていることや金融の脆弱性、地政学上の懸念などのいくつかの主要なリスクが部分的に顕在化していることを認識する。

我々は現在の貿易問題上の問題に留意する。我々は強固で持続可能的で、かつ均衡のとれた包括的成長を達成するため、そして信頼を高める対話と行動を強化することにより、下方リスクから守るためにすべての政策手段を用いるとの誓約を再確認する。

金融政策は引き続き、中央銀行の義務と整合的に経済活動を支え、物価の安定を確保する。財政政策は必要に応じてバッファーを再構築すべきであり、公的債務が持続可能な道筋にあることを確保しつつ、機動的に実施し、成長に配慮したものとすべきである。

構造改革の実行を続けることは、我々の潜在成長力を高める。我々は3月の財務相と中央銀行総裁による為替相場のコミットメントを再確認する。「ブエノスアイレス行動計画」を支持する。

我々は急速に変化する世界に効果的に対応できる、ルールに基づいた国際秩序を改善するために協力し合う決意を新たにする。

変革を起こす技術は新しく、より良い雇用や、より高い生活水準など、大きな経済的機会をもたらすことが見込まれている。しかしこの移行は、個人、企業、政府にとって課題をもらたす。政策対応と国際協力は、技術変革の恩恵が広く共有されることに役立つ。我々は「仕事の未来のための政策選択のメニュー」を支持する。各国の状況を考慮しつつ、成長と生産性を強化する技術を活用し、移行において人々を支え、分配の課題に対処し、持続的な課税システムを確保する。そして最良の証拠に基づいて意思決定がなされるためにこのメニューを参考にする。

労働の正規化を促進し、社会保障制度を強固にすることに焦点を当て、デジタルプラットフォームを経由した仕事を含む分野での社会的対話の重要性を認識する。ディーセントワーク、職業訓練、能力開発を促進することにより、包括的で公正で持続可能な仕事の未来を築く決意を維持する。

引き続き認知的スキル、デジタルスキル、起業家的スキルを育成し、優れた事例の収集と交換を推奨する。障害のある人を含む脆弱で少数グループの労働市場参加の増加を促進する。

若年層の雇用情勢を改善するための政策を実施する。G20の「アンタルヤ・ユース・ゴール」に沿って、若い世代の雇用環境の改善のための政策を実施する。持続可能なサプライチェーンの促進などを通し、児童労働、強制労働、人身売買、現代の奴隷制を撲滅するための行動を取る。

包括的で持続可能な成長のためのインパクト投資など、革新的な財政メカニズムおよびパートナーシップを含め、政府、民間および多国間の資源動員を可能とする状況の創出に努める。

教育へのアクセスは人権の1つであり、より包括的で豊かで平和的な社会形成のための戦略的公共政策の領域だ。我々は女児の教育の重要性を強調する。市民が社会的、技術的な革新のメリットを享受するため、雇用と公平で質の高い教育政策との協調を促進する。あらゆる教育水準において、客観的な根拠に基づく革新的な教育学および方法を促進する。

革新的な成長と生産性のためのデジタル化と新興テクノロジーの利点を最大限に活用するため、中小企業と起業家を後押しし、ジェンダーに基づくデジタル上の格差を解消し、消費者保護、デジタルインフラやデジタル経済の政策を改善する。

情報通信技術(ICT)の利用における安全性の問題について取り組むことの重要性を再確認する。適用可能な法的枠組みを尊重し、消費者の信頼、プライバシー、データおよび知的財産権の保護の構築に取り組む一方、情報、アイデア、知識の自由な流通を支持する。

革新的なデジタル経済のビジネスモデルの導入を共有し促進するための「G20デジタル政策に関するリポジトリ」を歓迎する。貿易とデジタル経済の接点の重要性を認識している。人工知能(AI)、新興技術、および新しいビジネスプラットフォームに関する取り組みを続ける。

インフラは経済的繁栄、持続可能な開発、包括的な成長の重要な推進力だ。インフラの資金ギャップに対応するために、より多くの民間資本をインフラ投資に呼び込むための決意を再確認する。これを達成するために「インフラを投資対象とするためのロードマップ」及びG20の「インフラプロジェクトの組成段階にかかわる原則」を支持する。より広範な契約の標準化の実現、データの不均衡の解消、リスク軽減のための行動をとっている。

G20の「食料安全保障と栄養の枠組み」に基づき、食料の安全保障の課題に取り組んでいる。食料安全保障は、飢えや栄養失調から解放された世界を実現するために不可欠だ。個々の国によって自発的に支援された持続可能な土壌、水および河川管理の重要性を意識し、家庭や小規模の農家の特定のニーズを考慮した上で、持続可能な農業を促進する。

リスク管理の強化と、変化する環境への適応の促進、生物多様性の保護、異常気象が農業に及ぼす影響を軽減する効果的な対応を提供するため、政府と民間機関の協力の重要性を強調する。

農業と食料におけるグローバルなバリューチェーンでの付加価値、生産性、効率性、持続可能性、品質向上を促進し、食料の喪失と廃棄物の削減努力を強化するために、民間部門、科学界およびすべての利害関係者に関与する取り組みを評価する。

ジェンダーの平等は、経済成長と公平で持続可能な開発にとって極めて重要だ。25年までに労働力参加率の格差を25%減少するというブリスベン・コミットメントを達成する上で前進を遂げているが、まだやるべきことが多く残っている。

女性と女児に対するあらゆる形態の差別を終わらせるための取り組みを促進する。女性の経済的地位向上を促進することを約束する。民間部門と協力し、性別による報酬の格差是正などの労働環境の向上に取り組む。

女性の指導的地位や意思決定をする役職へのアクセス、女性と女児のデジタルスキルの向上、STEM(科学、技術、工学と数学)とハイテク分野への参加の促進を約束する。「女性起業家資金イニシアチブ」を歓迎する。

持続可能な資金の動員と(全ての人に金融サービスを提供する)金融包摂の強化は、世界成長にとって重要だ。我々は持続可能な民間資本の導入を支援するための自発的な選択肢を提供する「持続可能な金融統合報告書2018」を歓迎する。

世界保健機関(WHO)による「持続可能な開発目標(SDGs)」の健康に関する目標実施のための行動計画策定の活動を奨励する。各国の状況と優先事項に沿って、保健医療へのより良いアクセスを達成し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに向けて、費用対効果が高く、強力な保健システムの必要性を再確認する。

経済協力開発機構(OECD)が、国際労働機関(ILO)、国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して作成した18年の「国際的移住・避難の傾向及び政策に関する年次報告書」に留意する。我々は、次の議長国の下でこれらの問題についてどう対話を継続するかを検討する。

難民の大規模な移動は、人道的、政治的、社会的、経済的影響を伴う世界的な懸念事項である。移動の根本的な原因に対処し、増大する人道的ニーズに対応するための共同行動の重要性を強調する。

持続可能な開発への変革のコミットメントを再確認し、目標達成のために2030アジェンダとG20行動計画を支持する。ブエノスアイレス・アップデートはG20がその目標への集団的かつ具体的な行動を描いている。

(途上国同士による)「南南協力」、(先進国が技術の提供などで関与する)「三角協力」が重要な役割を担っていることも認識する。G20アフリカ・パートナーシップを引き続き支援していくことも強調する。不法な資金の流れの問題に取り組むことを再確認し、進展状況を確認する。

力強い経済と健康な地球は共に支えあうものだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による1.5度の気温上昇による影響の報告書に留意する。異常気象や自然災害に対抗できるようなインフラ投資などの対策の重要性も認識する。

発展途上国など災害の影響に弱い国々の行動と協力をサポートする。温暖化ガス削減への長期的な開発戦略や国際金融フローについて議論した。各国の経験などを話し合い、各自で低排出への道を計画できることも認識した。

パリ協定の署名国でハンブルク行動計画にも参加している国々はパリ協定が不可逆的であることを再確認し、完全な実施にコミットする。

米国はパリ協定から脱退するとの決定を改めて表明し、環境保護をしつつ、経済成長やエネルギーへのアクセスと安全保障への強いコミットメントを確認する。

エネルギーが我々の未来に果たす役割を認識し、成長と温暖化ガスの削減を組み合わせたエネルギー転換とエネルギー効率における協力を奨励する。

持続可能なエネルギー資源への投資がイノベーション、成長と雇用創出につながることも認識する。エネルギーミックスにおける全てのエネルギー源と技術は、各国がクリーンエネルギーシステムを達成するまでの移行段階と認識する。

強くて効果的な金融機関は成長と持続可能な開発を支えている。国際通貨基金(IMF)を中心においた世界的な金融安全網をさらに強化することを再確認する。IMFと世界銀行に対し、借り手と債権者などと官民の債務返済の記録や透明性の改善を求める。

公的債務・財政管理に関する能力構築を支援し、低所得国における債務に対処するための措置をとる。インフラ金融を含む金融実務の改善にも取り組む。

オープンで国際基準に基づいた金融システムは持続可能な成長に重要だ。金融活動作業部会(FATF)の基準に基づいて仮想通貨を規制し、資金洗浄やテロ資金供与を防止し、他の対策も必要であれば検討する。

現代の国際課税システムに基づき、公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムへの向上に向け努力を続ける。多国間の税務行政執行共助条約に全ての法域が署名、批准をすべきだ。

国際的な貿易と投資は成長、生産性、イノベーション、雇用創出と開発を後押しする重要なエンジンだ。多国間の貿易システムが果たしてきた貢献を認識する。だが目的達成にはほど遠く、現在のシステムには改善の余地がある。したがって、我々は世界貿易機関(WTO)に必要な改革を支援し、次回の首脳会議で進み具合を検証する。

杭州とハンブルクで合意したコミットメントを想起しつつ、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムの具体的な政策的解決策を歓迎する。構成国に対してベルリンとパリでの閣僚会合での勧告を履行するように求める。19年6月までに実質的な報告を期待している。

我々は腐敗の防止と戦いにコミットしており、模範を示す。新しい19~21年のアクション・プランに賛同し、腐敗防止と国有企業の整合性を確保する原則を承認する。G20のコミットメントに基づき、腐敗と闘うための協力を継続する。次期議長国のもとで、関係性のある国際機関に報告するように要求する。G20の国々による国連腐敗防止条約の効果的な実施を求める。

我々はあらゆる形のテロリズムへの強い非難を再確認する。ハンブルクG20首脳宣言の完全な実施にコミットする。テロリズム・大量破壊兵器拡散につながる資金供給の防止に向けた努力を強化する。デジタル産業に対し、テロリストによるインターネットとソーシャルメディアの不正利用への戦いにともに取り組むように促す。

我々は、アルゼンチンにブエノスアイレス・サミットの主催に感謝するとともに、19年に日本で、20年にサウジアラビアで再び会合することを楽しみにしている。

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