日ロ外相を平和条約交渉責任者に 首相訪ロ前に初会合

2018/12/2 3:10 (2018/12/2 6:17更新)
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【ブエノスアイレス=甲原潤之介】安倍晋三首相は1日午後(日本時間2日未明)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでロシアのプーチン大統領と約45分間会談した。日ロ平和条約交渉を加速するため、河野太郎、ラブロフ両外相を交渉責任者とすることで合意した。来年1月に首相が訪ロする前に日ロ外相会談を調整し、新たな枠組みでの協議を開始する。

実務を担う交渉担当者として森健良外務審議官を首相特別代表、モルグロフ外務次官を大統領特別代表に指名した。両首脳が両氏に直接指示を出しながら交渉を進める。

首相は会談の冒頭で「平和条約の問題を中心に、シンガポールでの首脳会談の結果を踏まえしっかり議論したい」と強調。「共同経済活動の実現に向けた取り組みについて引き続き協力を進めたい。安全保障分野の協力をさらに力強く進めたい」と述べた。プーチン氏は「非常に頻繁なスケジュールで作業していることにうれしく思う」と話した。

プーチン氏は1日、首相と会談後に記者会見し、「相互関係を深めるためにさらなるメカニズムを構築することで合意した。経済と人的な協力を推し進め、信頼を高めることで一致した」と述べた。そのうえで「私も日本を訪問する機会があるだろう」と語った。

日本政府によると首相はプーチン氏に、黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡でウクライナ艦船を拿捕(だほ)したロシアの行動に懸念を表明。「乗組員の早期釈放を含め、事態が沈静化に向かうよう期待する」と述べた。

両首脳は11月のシンガポールでの会談で、平和条約の締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させると合意した。実務者を交渉担当に位置づけ、具体的な協議を進める。来年1月に首相が訪ロし、6月に日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせた日ロ首脳会談で大枠合意を目指す。

ただ、56年宣言の実現には課題が多い。ロシア側は北方領土への米軍の展開を警戒している。日米両政府は米軍に日本国内の施設などの使用を許可する日米安全保障条約や日米地位協定を結んでおり、大きな壁になる。

プーチン氏は56年宣言について歯舞・色丹2島が「どちらの主権になるかは明記されていない」と話し、2島の主権問題も交渉の対象との見方を示している。交渉は長期化する可能性もある。

56年宣言に記述がない国後島と択捉島の主権の問題も解決する必要がある。国後・択捉ではロシアによるインフラ整備が進み、軍事化の動きもみられる。国後・択捉の主権の問題は歯舞・色丹の扱い以上に両国の溝が大きい。

首相とプーチン氏の会談は24回目。アルゼンチンで開いたG20首脳会議への参加にあわせて会談した。

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