所得税申告漏れ計9千億円 国税庁、仮想通貨取引事案を初公表
国税庁は29日、2018年6月までの1年間(2017事務年度)に実施した所得税の税務調査の結果を発表した。全体の所得税の申告漏れ総額は9038億円で16事務年度に比べ1.7%増えた。今回は仮想通貨取引で得た利益を適切に申告していなかった不正事案を初めて公表した。
税務調査などは約62万件。うち約38万件で申告漏れなどが見つかり、追徴税額は1196億円と16事務年度比で7.6%増加した。国税庁が税務調査に積極的な富裕層については670億円の申告漏れを指摘し、追徴税額は177億円と16事務年度比で4割増えた。
公表された仮想通貨取引をめぐる事案は、会社員男性が複数の仮想通貨交換会社に自分や妻名義の口座を開設したが、妻名義などの利益を申告しなかった。東京国税局は男性に約5千万円の申告漏れを指摘、重加算税を含め約2400万円を追徴課税した。
ほかに、会社員男性が民泊による収入を申告せず約700万円を追徴課税された事例や、チケットの転売で多額の利益を得ていた男性が約4千万円を追徴課税された事例もあった。