2018年12月19日(水)

富山でQR決済続々 キャッシュレス経済圏拡大へ

金融機関
ネット・IT
北陸
2018/11/30 7:00
保存
共有
印刷
その他

富山県でQRコードとスマートフォン(スマホ)を使った電子決済サービスが広がっている。富山信用金庫(富山市)など県内7信金は取引先へのスマホ決済の導入呼びかけを始めた。富山第一銀行は事業化に向けた行内実験を始めた。北陸地方は電子マネーの普及が足踏みしているが、加盟店側の負担の少ないQRコード決済を核にキャッシュレス経済が根付きつつある。

「シャリリーン」。28日に富山市内の富山第一銀行本店で開かれたデジタル通貨の発表会。横田格頭取がスマホを紙に印刷されたQRコードにかざすと電子音とともに数秒でカップ入りスープの決済が終わった。

この日始まったのは、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って安全性を確保したデジタル通貨「First Bank Coin(FBC)」の行内実証実験だ。「行員自らが経験することで、今後、お客さんにも自信を持って勧めることができる」と横田頭取。

行員はATMやネットバンキングを通じて行内の専用口座に振り込んだ金額に応じ、1FBC=1円換算でデジタル通貨を発行する。本店内の食堂にある売店では、商品についているQRコードを専用アプリをダウンロードしたスマホで読み取ることで決済できる。

使い勝手を検証して早期に行外で地域通貨として流通させたい考えだ。QRコード決済に必要なのはコードを表示する紙かモニターと利用者のスマホのみ。同行は「専用端末の導入が必要なクレジットカード決済などと比べて加盟店の負担は大きく減らせる」と潜在需要に期待する。

富山信金など県内7信金と信金中央金庫はスマホ決済サービスのOrigami(オリガミ、東京・港)と提携した。今後、7信金が中心となって顧客にオリガミが手掛けるQRコード決済サービスの採用を働きかける。

オリガミのサービスも導入費用や年間手数料が無料で店側の負担が少ないのが特徴。中国の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」にも対応しており「ほとんどが現金払いのみに対応している中小企業のキャッシュレス化を後押しし、インバウンド需要も取り込んでもらいたい」(信金中金)考えだ。

21日には「満寿泉」の桝田酒造店(富山市)などが出資して立ち上げた地域デジタル通貨「Yell(エール)」の運用も始まった。既に県内約30の店舗がエールで購入できる商品やサービスをネットや実店舗で提供している。Yell運営事務局の担当者は手軽に導入できるQRコードの注目は高いとして「2019年3月までに加盟店を80にまで増やしたい」と意気込む。

総務省によると、北陸地方で電子マネーを利用した世帯員がいると回答した割合(総世帯)は22.3%と地域別で最も少ない。「キャッシュレス決済に対応した店舗が限られている」(富山第一銀)ことが背景にある。

店舗側の導入負担がクレジットカードなどと比べて少ないQRコード決済の普及が進めば、キャッシュレス決済を好む若年層や訪日外国人の利便性が高まり、域内消費の活性化にもつながりそうだ。(富山支局 伊地知将史)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報