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アマゾン、20年の「知見」を外部に開放 推薦や売り上げ予測をクラウドで

米アマゾン・ドット・コムは28日、同社の中核技術である商品の推薦システムを外販すると発表した。ユーザーは消費者の行動履歴をもとにアマゾンと同様の推薦技術をオンライン小売りや動画配信事業に活用できる。利幅の薄いネット小売りから、同システムを使用するユーザーに課金して収入を得るクラウド事業にシフトして、収益力を高める狙いだ。

ラスベガスで開かれた年次会議で、アマゾンのクラウド子会社「AWS」のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

外販するのは個々の消費者にあわせて商品などを推薦できるクラウド経由で使える人工知能(AI)システム。アマゾンが創業以来20年以上かけて、ネット小売りなどで培ってきた技術だ。消費者が何をいつ買い閲覧したかといったネット上の行動履歴に基づき、その人が欲しそうな商品を高い精度で推薦するもので、アマゾンのネット通販の競争力の源泉とされてきた。

AWSはこの推奨システムのアルゴリズムを従量課金で外部企業が使えるようにする。AIの技術者が全くいない会社でも、データを入れるだけで「アマゾンと同品質」(AWS)の推薦システムを構築できるという。

影響は大きそうだ。すでに先行顧客として同システムを使ったインドの動画配信ベンチャー企業はユーザーが見そうな動画を予測して推薦するシステムを作り上げた。米国の結婚式プランニングベンチャーも、ユーザーの検索履歴などを基に適切なサービスを提示する仕組みを構築した。これまでAIと無縁と思われていた企業にも先端技術を使う事業への参入余地が生まれている。

AWSは昨年、高度な専門技術者がいない会社でも簡単にAIシステムを構築できるサービスを発表したが、今年はその枠組みを広げアマゾン内にある一部アルゴリズムも提供対象とした。時系列のデータを基にサーバーへの負荷や売り上げ見通しを立てるシステムも今回、クラウド経由で外販する。

会社の看板ともいえる技術を外部に開放するのは、アマゾンの収益構造が大きく変わっているからだ。2018年7~9月期のアマゾンの営業利益のうちAWSの占める割合は56%。売上高も前年同期比46%増とアマゾンの大黒柱に育っている。競争が激しく利幅も薄いネット小売りの「知見」を使って、クラウドで大きくもうける総合テクノロジー企業に変貌しつつある。

ただ、足元で32%というAWSのクラウド世界シェア首位の座は安泰ではない。シェア17%で2位のマイクロソフトは米ウォルマートと組むなどしてアマゾンの追い落としを狙っている。グーグルや中国アリババ集団も猛追中だ。

競争が激しくなるなかで各社が違いを出すために目をつけているのがAIだ。データの入力によっては人種や性などの差別を助長する懸念など課題も多い中、それでもクラウドとAIを融合させた技術開発やサービスの拡大は今後も続きそうだ。AIの産業インフラを握る企業もまた、米西海岸のIT(情報技術)巨人たちなのだろうか。

(ラスベガス=中西豊紀)

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