2019年9月22日(日)

語りや三味線 大阪で体験教室 義太夫節 ボクも私も(もっと関西)
カルチャー

関西タイムライン
2018/11/30 11:30
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人形浄瑠璃文楽を客席で鑑賞するだけでなく、語りや三味線の演奏を体験する機会を提供する動きが広がっている。体験することで、芸への理解が深まり、文楽の楽しみ方が広がる。かつて大阪で文楽が栄えた頃は、商家の旦那衆らが義太夫節を稽古し、自らも語る「素人義太夫」が文楽を支えていた。義太夫節愛好者を増やし、文楽のファン拡大にもつなげる狙いだ。

義太夫節の語りを指導する竹本織太夫(左)

義太夫節の語りを指導する竹本織太夫(左)

「歌はメロディーに文字を当てはめますが、義太夫節は音と音の間に言葉をはめて語ります」

■織太夫が指導

11月中旬、大阪府立中之島図書館に集まった約40人を前に義太夫節の語りを指導しているのは、文楽太夫の竹本織太夫だ。11月の文楽公演で自身が語った「桂川連理柵」の「道行朧(みちゆきおぼろ)の桂川」を題材に自ら手本を披露。「三味線の音に合わせるのではなく、物語に合わせて音を高くする。西洋音楽と違うところ」などとコツを伝授する。演奏は文楽三味線の鶴澤清志郎が担当。参加者らは義太夫節独特の節回しに苦戦しながらも、声を合わせて語った。

普段からよく文楽を見に行くという臼井優子さんは「聞いていてリズムや音程がどうなっているのか不思議だった。語ってみても簡単にはのみ込めない」と義太夫節の難しさを体感した様子。藤本稔さんは「語るのは難しいがもっと稽古してみたい」と話していた。

女流義太夫の豊澤雛文(左)らが三味線を教える

女流義太夫の豊澤雛文(左)らが三味線を教える

織太夫が一般の観客を相手に体験教室を開くのは今回が初めて。国立文楽劇場近くの高津小学校(大阪市中央区)では2001年から文楽の授業をしてきたが、「義太夫節のすごさは体験しないと分からないところがある。こういう機会を通じて魅力を伝えたい」(織太夫)と意義を語る。

大阪を拠点に活動する女流義太夫の奏者らは昨年に続いて「はじめての義太夫ワークショップ」を、あべのハルカス内のスペース9(大阪市阿倍野区)で開催している(12月15日まで)。「太夫コース」「三味線コース」をそれぞれ4回開き、連続受講でも、1回だけの参加でもいいという。太夫の竹本住蝶(すみちょう)、竹本雛子、三味線の豊澤住輔(すみすけ)、豊澤雛文(ひなふみ)が講師となり、三味線の構え方や撥(ばち)の持ち方、太夫の発声方法など初歩的なところから教える。

■女流減に危機感

ワークショップは大阪市の「咲くやこの花コレクション」の一環で開催。昨年はのべ304人が参加した。大阪の女流義太夫は演奏者が減り、公演も少ないため、ワークショップを通じて知名度を高めたいという狙いもある。昨年から参加しているという安宅千浩さんは「文楽や歌舞伎が好きでよく見に行くが、三味線を習ってからは演奏者にも目が行くようになり、楽しみが広がった」と話す。

国立文楽劇場では、7~8月の夏休み文楽特別公演の期間中、子ども限定で太夫、三味線、人形を体験できる「体験ステージ」を1階の資料展示室に設置。開演前の午前10時からの40分ほどだが、連日約20人の定員がいっぱいになった。夏休みの「親子劇場」では観客がステージに上がって人形を体験するコーナーがあるが、体験できるのは人形のみで人数も限られる。「より多くの人に触れてもらう機会を設けたい」(同劇場)といい、来年以降も続ける考えだ。

織太夫は「野球に草野球やリトルリーグがあるように、義太夫節を語る人を増やしたい」と力を込める。自ら語ったり演奏したりすることにより、観客としての見る目も養われる。本格的に入門するのはハードルが高いが、体験講座ならば気軽に試せそうだ。

(大阪・文化担当 小国由美子)

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