2018年12月19日(水)

英中銀、EU離脱「無秩序なら短期で景気後退」
最悪シナリオでGDP8%減

Brexit
ヨーロッパ
2018/11/29 4:52
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【ロンドン=篠崎健太】英中央銀行イングランド銀行は28日、欧州連合(EU)からの離脱が英国経済に与える影響をまとめた報告書を公表した。移行期間を導入できない「無秩序離脱」になった場合、英経済は2019年3月末の離脱から短期間で景気後退に陥るとの見通しを示した。通貨ポンドは25%、英住宅価格は30%それぞれ最大で下落するなどと予測し、経済の混乱を警告した。

記者会見する英イングランド銀行のカーニー総裁(28日、ロンドン)

英中銀は「移行期間なし・合意なし」で離脱した場合に何が起こるかを分析した。対EU貿易に関税や非関税障壁が生じ、通関現場が滞ったり、企業の投資や個人消費が急減したりする事態を織り込んだ。

最悪シナリオでは、英実質国内総生産(GDP)は19年1~3月期をピークに、年末にかけて最大で8%落ち込むと予測した。悪化幅は08年の米リーマン・ショック時(6.25%)を上回り、短期間で深刻な景気後退が訪れることになる。

経済活動の冷え込みで、失業率は足元の4%強から最大7%台半ばまで高まる。ポンドは対米ドルで1ポンド=1ドルの等価を割り込む見通し。通貨安や関税上乗せによる物価上昇を抑えるため、政策金利は年5.50%(現在は0.75%)まで急激に引き上げられるとの想定を示した。

カーニー総裁は同日の記者会見で「イングランド銀行はどんな形のEU離脱にも備えができている」と語った。一方で、英国は突然「崖」が現れる離脱にまだ十分準備ができていないと指摘した。移行期間の導入によって「英経済への影響を最小化できる」と述べ、今後の英下院での離脱協定審議を念頭に、無秩序離脱の回避を強く求めた。

英中銀は併せて発表した金融安定報告書で、仮に無秩序離脱に至っても「英金融システムは頑健さを保つ」との判断を示した。英大手銀行を対象にした年次ストレステスト(健全性審査)の結果、ショックを吸収できる自己資本が十分あると評価した。中銀からの資金調達枠も豊富で「市場混乱に耐える十分な流動性がある」と結論づけた。

EU離脱に伴う金融システム上の懸念事項として今回も、膨大なデリバティブ(金融派生商品)契約の不透明感が払拭されていない点を挙げた。英国の清算機関が扱うEU側参加者の残高は、19年3月末以降に満期を迎える分が想定元本ベースで45兆ポンド(約6500兆円)あると指摘。万が一の場合も取引の継続性が確保されるよう、EU側の取り組みを促した。

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