2018年12月14日(金)

FRB議長、政策金利は中立水準「わずかに下回る」
利上げ打ち止めの思惑 NY株500ドル超上昇

北米
経済・政治
2018/11/29 2:53 (2018/11/29 5:05更新)
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【ニューヨーク=大塚節雄】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日にニューヨークで講演し、「金利は歴史的な基準ではなお低く、依然として経済に対して中立な水準を巡る幅広い推計値をわずかに下回る」と述べた。当面の利上げの継続をにじませつつも、政策金利が景気をふかしも冷やしもしない「中立金利」に近いとも言及。利上げの停止時期を慎重に見極める考えを示した。

米株式市場では講演内容が伝わると、ダウ工業株30種平均が一段高となり、上昇幅は前日比で一時500ドルを超えた。政策金利が中立金利を「わずかに下回る」との表現が、利上げの打ち止めが近いとの連想につながった。10月初旬の講演では中立金利には「まだ距離がある」と語り、株安の一因となっていた。

パウエル氏は講演で「強固な成長と低失業率、2%近辺のインフレ率が続くと予測している」と表明。一方で「最も注意深くつくった予測であっても、時に現実は全く異なるものになる」とも語り、予測を巡るリスク要因を注意深く監視していく考えを強調した。

「健全な政策決定のかなりの部分はリスク管理が占める」とも述べ、「緩やかなペースでの利上げはこれまでリスクをバランスさせる方向で実践してきた」と強調。早すぎる利上げは「景気拡張を短くさせる」半面、遅すぎると「高インフレや金融面での不均衡の拡大」につながるとして、利上げは遅すぎても早すぎてもいけないという見解を改めて強調した。

その一方で「段階的な利上げの経済への影響は不確かで、完全に表れるには1年かそれ以上かかるかもしれない」とも語り、これまで続けてきた利上げの影響に注意していく姿勢をみせた。

中立金利を巡っては、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが見込む値が2.5~3.5%の間でばらつき、中央値は3.0%。政策金利は現在2.00~2.25%まで上昇しており、景気を冷やす領域に近づいている。パウエル氏は中立金利の水準について「かなりの不確実性がある」と指摘し、経済状況などをにらんで想定を見直していく考えを示した。

現在の米株価を巡ってはPER(株価収益率)の長期的な水準と「おおむね一致している」と評価し、株式市場の状況は「危険なほど過剰だとは思っていない」と述べた。

トランプ米大統領はFRBの利上げ方針を繰り返し批判し、米株安が進んだ際には利下げへの転換も要求した。今回のパウエル氏の発言の変化について、市場には「トランプ氏寄りの姿勢に傾いた」(エコノミスト)として、トランプ氏の圧力を意識したとの見方も出ている。

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