2018年12月17日(月)

脚光浴びるスポーツテック
(WAVE)スクラムベンチャーズ代表 宮田拓弥氏

コラム(ビジネス)
スタートアップ
2018/12/3 6:30
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NFL(米フットボールリーグ)の試合終了3分前。サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(49ers)が逆転を目指して最後の攻撃中だ。人工知能(AI)は過去のデータや陣形などから、クオーターバックは右のワイドレシーバーよりも左のタイトエンドにパスをした方が成功確率が33%高いと予測している。さて、クオーターバックはどちらへのパスを選択するだろうか?

スクラムベンチャーズ代表
日本と米国でスタートアップを複数起業後、ミクシィ・アメリカの最高経営責任者(CEO)を経て、2013年にスクラムベンチャーズを創業。50社超の米国のスタートアップに投資。

選手が実際にプレーするよりも前に、ファンはAIが予測したデータをテレビで見ることができる。これは遠い未来の話ではなく、NFLが米アマゾン・ドット・コムとの提携によってすでに実現しつつある「新しいスポーツ観戦」のあり方だ。

AIやセンサー、素材などの様々なテクノロジーが発展したことにより、スポーツはまだまだ進化している。

スポーツ関連のテクノロジーは「スポーツテック」と呼ばれ、最近では世界で年間1000億円を超える資金がスポーツテックに取り組むベンチャー企業に流れている。この金額は、過去4年で3倍にまで膨らんでいる。

日本でも、政府が掲げる「日本再興戦略2016」の官民戦略プロジェクトの一つとして「スポーツの成長産業化」が挙げられている。2015年に5.5兆円だったスポーツ市場の規模を、25年には15.2兆円にまで拡大させるという方向性が示されている。

そのために、IT(情報技術)をキーとして観光、教育、アパレル、小売りなどとの親和性の高い産業との融合を進めて、成長産業として市場規模を伸ばすもくろみだ。

ご存知の通り、ここから数年、東京では世界的なスポーツの大会の開催が目白押しで、世界から注目を浴びる都市となる。スポーツに関するこの大きなモメンタムに乗り、当社はスポーツビジネスで圧倒的な実績のある電通とタッグを組み、「SPORTS TECH TOKYO」という新しいプログラムを始めた。

19年の1月から1年間、世界中からえりすぐりのスポーツテックのスタートアップの参加を募る。そして、日本の様々なスポーツ関連の企業、リーグ、チームなどと共同で、実際の技術の活用に向けて実証実験やショーケースなどを行う予定だ。

先日、大迫傑選手が日本新記録を出したシカゴマラソンでは、同じメーカーの画期的なシューズを履いた選手が上位を独占したことが大きな話題になった。

プロ野球では、「トラックマン」と呼ばれるレーダー技術が複数の球場に導入され、ボールの回転数、初速など細かいデータが取得できるようになり、投手の交代などの戦略に活用されるようになっている。

ラグビーでは選手のユニホームに全地球測位システム(GPS)センサーが取り付けられ、試合中に移動した距離や速さなどをつかみ、選手の主観的なデータと組み合わせてパフォーマンスの管理・向上に使われている。

様々な新しい技術により、アスリートのパフォーマンスが向上し、ファンの視聴体験も拡張される。「スポーツテック」が、この東京でどう花開くのか、今から楽しみだ。

[日経産業新聞 2018年11月29日付]

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