2019年6月18日(火)

スパイバー50億円調達 タイに新素材の量産工場

2018/11/28 16:33
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クモの糸の遺伝子から繊維などを作る素材スタートアップのスパイバー(山形県鶴岡市、関山和秀代表執行役)は28日、官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)などから総額50億円を調達したと発表した。調達資金でタイで新素材の原料となるたんぱく質を量産する工場を建設する。クールジャパン機構とも連携して、軽量で環境に優しい新素材を世界のアパレル産業や自動車産業に売り込む。

28日、都内で記者会見したスパイバーの関山代表(左)とクールジャパン機構の加藤専務

総額50億円の第三者割当増資を9月末に実施、このうち約30億円をクールジャパン機構が引き受けた。残りの20億円の引受先は非公表だが、「5社以下の事業会社に共同開発に取り組む戦略的なパートナーとして入ってもらっている」(関山代表)。増資後の資本金(資本剰余金を含む)は224億円に膨らみ、国内の未上場スタートアップ企業として有数の規模になる。

スパイバーは慶応義塾大学先端生命科学研究所のクモ糸人工合成の研究成果を活用するため、2007年に設立された。山形県鶴岡市で研究開発を進め、たんぱく質由来の新素材「QMONOS(クモノス)」の量産技術を世界に先駆けて確立した。クモノスは樹脂やフィルムなど様々な素材への加工が可能で、原料を化学資源に依存しないため、環境性に優れた新素材として注目されている。

生産コストの高さが事業化に向けた大きな課題だったが、関山代表は28日の記者会見で「1キログラムあたり40~50ドルまで下げられるメドが付いた」と強調。タイに新設する構造たんぱく質の量産工場は年産数百トンを予定し、「鶴岡の100倍で世界最大規模となる」という。19年半ばまでに着工し、21年に商業生産を開始する。

タイから出荷されたたんぱく質は鶴岡の本社設備で繊維に加工。スポーツウエアなどアパレルの素材や自動車のドアなどに供給する。クールジャパン機構の加藤有治専務取締役は「人工構造たんぱく質は環境負荷が少なく、次世代の基幹素材になる。新素材による日本発のアパレルを海外に発信できる」と期待する。関山代表は「アパレルや自動車を中心に幅広い産業で脱石油、軽量化に貢献できる。将来的には繊維需要の15~20%を置き換えたい」と語った。

スパイバーの従業員数は200人。企業価値が10億ドル(約1100億円)以上の未上場企業「ユニコーン」の予備軍の1社とされる。関山代表は今回の増資後の企業価値について「まだユニコーンには届かない」と説明。新規株式公開(IPO)については「将来的な資金調達の手段として検討している」と話した。

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