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国内で乗れる旅客機は何機種? 知って空旅を快適に

連載 ヒコーキに恋して(1)

フリーアナウンサーの貞平麻衣子さんが飛行機の不思議に迫ります

飛行機を愛してやまないフリーアナウンサー貞平麻衣子さんが、飛行機に関する最新情報や意外と知らないうんちくを紹介する連載が始まります。第1回は国内を飛んでいる旅客機の種類についてです。どんな旅客機が日本の空を飛んでいるかを調べてみます。

◇  ◇  ◇

初めまして。ホリプロ所属のフリーアナウンサーの貞平麻衣子です。貞平は「さだひら」って読みます。電話帳登録ベースでカウントすると「貞平さん」は日本全国に数十件の登録だそうで、ちょっと珍しい名字です。

「趣味は飛行機」というと「へぇー」と驚かれます。でも、格安航空会社(LCC)も当たり前になり、最近はずいぶん身近な存在になってきましたよね。国土交通省のサイトにある「航空会社一覧」をみると、「本邦」と分類された日本法人の航空会社の数は25社だそうです。日本の航空会社は長らくJAL・ANA・JASの3社だったことを思うと、本当に増えましたよね。

先日も「出張で旅客機に乗る機会が増えてきました」という方にお会いしたのですが、そのとき、「国内を飛んでいる旅客機って何種類くらいあるんですか?」と聞かれ、思わず答えに詰まってしまいました。

男性って、種類とか分類とか数とか、統計的なものが好きですよね。私、飛行機が好きだという割には、数やデータはそんなに詳しくないんです。ということで、第1回は「日本国内で乗れる旅客機の種類」を調べてみたいと思います。

国内で乗れる旅客機にはどんなものがあるのでしょうか?

各社のホームページに情報はある

見たことがある人は少ないかもしれませんが、航空会社は自社の機種をホームページで紹介しています。例えばJALは「国内線」の「機内・ラウンジ」内にある「機内座席配置」、ANAは「国内線トップ」の「空港・機内で」というページにある「機種・シートマップ」です。日本すべての航空会社のホームページを見ていけば、日本国内で乗れる旅客機の種類がわかるはず。

一社一社、機種情報を求めてホームページを見ていくのは至福の時間でした。個人的には、フジドリームエアラインズが運航している12機の「エンブラエル 170/175」紹介ページがカラフルなのに感動。レッド、ブルー、ピンク、グリーンと、旅客機たちが戦隊ヒーローみたいに並んでいてキュンキュンしちゃいます。

フジドリームエアラインズのホームページにあるエンブラエル 170/175の紹介ページ。12機が11色にカラーリングされています。戦隊モノのヒーローみたいです
県営名古屋空港で撮影されたフジドリームエアラインズの飛行機たち。同空港では7機が夜間駐機しており、早朝展望デッキに上がるとカラフルな機体が駐機する光景が見えると航空ファンの間では人気だそうです(フジドリームエアラインズ提供)

 次にホームページに載っている機種をリストにまとめます。この段階で、改めて各社の広報に確認していただきました。どの航空会社も丁寧に回答してくださり、初めて分かったこともたくさんありました。たとえばエアアジア・ジャパンのホームページにはエアバスA330とA320が記載されていますが、これは日本に乗り入れているエアアジア・グループの旅客機も含んでいるとのこと。「エアアジア・ジャパン(本社:愛知県常滑市)」の保有する機種となると、エアバスA320型機のみになるそうです。

さて結果はどうなったでしょうか?

ジェット機
●ボーイング737-400 
●ボーイング737-500 
●ボーイング737-700 
●ボーイング737-800 
●ボーイング767-300 
●ボーイング767-300ER 
●ボーイング777-200 
●ボーイング777-300 
●ボーイング787-8 
●ボーイング787-9 
●エアバスA320 
●エアバスA321 
●エンブラエル170 
●エンブラエル175 
●エンブラエル190 
●ボンバルディアCRJ-700 
プロペラ機
●ボンバルディアDHC-8-201 
●ボンバルディアDHC-8-Q400/DHC8-Q400CC 
●ATR42-600 
●サーブ340B 
●ドルニエ228-212

いかがでしょう。かなりの数がありますよね。ただ、これで正解なのかどうかは不安が残ります。見落としている機種があるかもしれないし。そこで専門家に話を聞きに行くことにします。

実は作業を進めている途中で、その名も『旅客機型式ハンドブック』という書籍があることを知ったのです。出版社は市ケ谷にあるイカロス出版。飛行機好きにはたまらない様々な書籍や雑誌を出版していて、オタクな私にとっては聖地のような会社です。早速市ケ谷を訪ねて、この書籍を担当した編集者・佐藤言夫さんにリストを確認していただきました。

イカロス出版の佐藤言夫さんにリストを確認してもらうと……(写真 加藤康)

見た目ではわからない違いも

貞平麻衣子(以下、貞平) 私が作ったリストですが、抜けている機種はありますか。

佐藤言夫さん(以下、佐藤) すぐに気づくところでは、ボーイングの777-300ERと777-200ERが抜けていますね。777-300ERはANAが国際線の乗り継ぎ用に一部の国内線で使っています。777-200ERはJALは国際線だけですが、ANAが国内線に使用しています。

貞平 ERは「EXTENDED RANGE」の略称ですよね。国際線というイメージがあったんですけど。

佐藤 その通りです。たとえば777-200の場合、200が国内線、200ERが国際線という使い分けだったんですが、ボーイングはもう777-200は造っていないんです。じゃあ、別の機種にすればいいかというと、日本の国内線というのはちょっと特殊で……。

佐藤 日本の国内線は羽田空港の発着枠が限られているため、少ない便数で大量輸送をしなくてはいけない。だから大きな旅客機が求められるんです。

貞平 確かに海外で国内線に乗ると、日本より小さな旅客機が多い気がします。

佐藤 日本では多くの人を乗せたいから777を使いたいんだけど、初期の200は旧式化しているので、新型に変える必要がある。そうなると200ERを選ぶしかない。そこであえてパワーを抑えたエンジンを取り付けて国内で200ERが飛んでいたりする。もちろんエンジンが違うだけだから、見た目じゃまったくわかりません。そういうややこしさがあるわけです。

貞平 確かにややこしい(笑)。

佐藤 一部の航空ファンにとっては、そういうところが楽しいんですけどね(笑)。ただ航空会社がそれを一般の乗客に説明する必要性があるかというとまったくない。だから、こういう細かなところまではホームページには記載されていないことも多いんです。

航空会社で呼び方が異なる?

貞平 エアバスも「A320」と書いている会社と「A320-200」と書いてある会社がありました。

佐藤 通常、機種名に続くダッシュ以下の数字は胴体長の違いを表すことが多いのですが、エアバスA320の場合はエンジン性能の違いなどを示しているにすぎないので、ダッシュ以下を省くケースが多いんです。A320-200に関しては、A320-100は初期にわずかな数が造られただけなので、現在、日本で使われているのはすべてA320-200になります。ちなみにA320ファミリーの場合、胴体の短い順から、A318/A319/A320/A321と機種名も違います。

貞平 エアバスA320にはneo(new engine option)かceo(current engine option)という違いもありますね。

佐藤 それもエンジンの違いですね。neoのほうが新型です。エアバスとneoを導入した全日空は、以前の機種をceoと呼んでいますが、他の航空会社はceoという呼び方をしていないので、これもややこしい。neoのことを「A320-200N」としたりする場合もあるんです(笑)。

貞平 誰かが決めてくれればいいのに。

佐藤 そういう意味では、当社が毎年発行している『日本の旅客機』というムックを一つの基準としていただけるかもしれません。ただ、うちの書籍の多くはあまり安くないんですね(笑)。そこで、お小遣いの少ない学生さんなど、これから飛行機について知りたい人に向けて入門編として出したのが、貞平さんが読んでくださった『旅客機型式ハンドブック』なんです。

佐藤さんが編集を担当した『旅客機型式ハンドブック』は入門書として最適。博物館などにも置かれ、人気があるそうです(写真 加藤康)

機種を知っていると旅が快適に?

貞平 それにしても機種の違いって奥が深いですね。飛行機が好きだけど、あまり知らなかったなと反省しています。

佐藤 鉄道ファンに乗り鉄や撮り鉄があるように、それぞれの楽しみ方があっていいと思います。みんなが機種に詳しくなる必要はないですから。旅客機に関してはボーイング機とエアバス機が大きなシェアを占めていて機種もどんどんしぼられる傾向があるし、もっとわかりやすいカラーリングの違いなどを楽しんでいる航空ファンのほうが主流じゃないでしょうか。ただ機種について基本的なことを知っていると得をすることはあるかもしれません。

貞平 得するなんてこと、あるんですか?

佐藤 貞平さんは旅客機で席を取るとき、どこを選びます?

貞平 私は窓側です。いつも黒い布を持っていって、それを頭からかぶって、機内の明かりが入らないようにして外の写真を撮っています(笑)。

「飛行機では私は窓側の席を選びます。黒い布を頭からかぶって……」と語る貞平さん(写真 加藤康)

佐藤 うちのカメラマンと同じですね(笑)。確かに飛行機が好きな人は窓側に座る場合が多いんですが、ビジネス利用の場合、多くの人が通路側をまず選ぶんです。トイレに立つとき、隣の人に気兼ねすることはありませんから。反対にいちばん人気がないのが3人掛けの真ん中の席です。

貞平 窓の外も見えないし、トイレにも立ちづらい(笑)。

佐藤 それに横一列の座席数が多い旅客機は正直、狭いんですよ。国内線の場合、ボーイング777は3-4-3で10席、ボーイング787が9席が主流ですから。その点、767は2-3-2の7席が標準。広いし、真ん中の席も1列に1つしかない。767はそれなりに大きいので羽田-福岡や羽田-札幌など幹線に入る可能性もある。だから、僕は前の便がトリプル(777)で、次の便が767の場合、1時間程度の違いなら767を選ぶことがあります。そちらのほうが快適ですからね。

今回参考にさせていただいた『旅客機型式ハンドブック』と『日本の旅客機2018-2019』をもって佐藤さんと記念撮影(写真 加藤康)

2019年の注目機種は?

せっかくの機会なので、佐藤さんにこれから日本に入ってくる注目機種を聞いてみます。「国内線ではJALが導入予定のエアバスA350WXBですね。国際線ではANAが東京~ホノルル線にエアバスA380を導入する予定ですが、それと並ぶ注目機種です」

2019年度中にJALが国内線に導入予定のエアバスA350WXB。「旅客機型式ハンドブック」には「新しいけど堅実」な飛行機だと書かれていました

実は私、海外でA380には乗ったことがあるのです。だからA350WXBにぜひ乗ってみたい。JALに時期を確認したところ、「2019年度中に導入予定」という答えが返ってきました。今から楽しみです。

ちなみに「今のうちに乗っておいたほうがいい旅客機は?」と聞いてみると、「サーブ340B」というお答えでした。「小型プロペラ機の種類は世界的に減る一方ですし、サーブ340Bは退役も近いですから」とのことでした。日本では奄美群島を始め西日本各地を結ぶ日本エアコミューターと北海道エアシステムが使用しています。

佐藤さんが「今のうちに乗っておいたほうがいい」というサーブ340B(写真上は北海道エアシステム、下は日本エアコミューター提供)

あらためて『日本の旅客機』に載っている機種を確認してみると、私が作ったリストに載っていなかったのは、佐藤さんが教えてくれたボーイング777-300ER、777-200ER、そしてエアバスのA320neoとA321neoの4つでした。合わせると25機種ということになります(ボンバルディアDHC-8-Q400とDHC8-Q400CCは1機種として数えました)。

私が個人的に今一番乗りたいのは、新中央航空が運用しているドルニエ228-212。調布空港から大島や新島などを結んでいる路線なので、観光旅行でいつか乗りたいとチャンスをうかがっているところです(もちろん観光のメインイベントは「ドルニエ228-212に乗る」なんですけどね)。

今いちばん乗りたいドルニエ228-212(新中央航空提供)

みなさんが乗ったことがある機種はいくつあったでしょうか。離島を結んでいる路線に乗る機会が多い方は、乗ったことのある機種数、けっこう稼げているかもしれませんね。羨ましい。

ビジネスやプライベートで旅客機に乗るときには、「きょうの機種は何かな」と、ちょっとだけ注目してみてください。

それでは、みなさんすてきな空の旅を!

貞平麻衣子
 1981年3月16日生まれ、O型。元地方局アナウンサー。現在はホリプロに所属し、NHK-FM『クラシックカフェ』等を担当。趣味は、飛行機と愛犬とビールと旅。一人旅でアマゾン川のピラニアを釣ったり、愛犬を連れてパリに行くなど、大の旅好きでもある。

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