2018年12月14日(金)

アマゾン、次は「宇宙インフラ」 世界でデータ受信基地

ネット・IT
北米
2018/11/28 12:42
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【ラスベガス=中西豊紀】米アマゾン・ドット・コムは27日、人工衛星からデータを受け取るための基地局を全世界12カ所にもうけ、有償の設備利用サービスを始めると発表した。ユーザーは写真などのデータを衛星から基地局に送り、解析などに使うことができる。宇宙ビジネスのインフラをアマゾンが手掛ける形で、学術研究やスタートアップ企業の育成につながりそうだ。

記者会見で基地局建設について発表するアマゾンクラウド子会社のジャシーCEO

アマゾンのクラウド子会社「AWS」がラスベガスで開いた年次総会で発表した。人工衛星は電波にデータを乗せて地球に送信しているが、それを受け取るためのアンテナ局を建設し、2019年半ばをメドに外部ユーザーが利用できるようにする。

■設置費用、アマゾンが肩代わり

AWSのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が「人と衛星とのかかわりを変えるゲームチェンジャーになる」と自負する今回のサービスの特徴は3つある。

まず基地局設置をアマゾンが肩代わりする点。米国では衛星画像を人工知能(AI)で解析し災害予防などに役立てるスタートアップが生まれているが、こうした企業にとっては投資コストの大幅な圧縮になる。

データを受け取る効率も増す。現時点では衛星に比べ利用できる地上基地局の数が限られるため、必要なデータがすぐに受け取れないという課題があった。今回、世界12地域に基地局を置くことで「好きな時にデータを受信できる」(AWS)ようになる。

■クラウドと一気通貫で

最後はAWSが手がけるクラウドサービスとの連携だ。基地局で受け取ったデータはAWSのインフラを通じて保管され解析できる。膨大なデータを宇宙という「上流」から地球のユーザーという「下流」まで、アマゾンが一気通貫で扱う試みといえる。

衛星ビジネスは米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が率いるスペースX(エックス)などの登場で、打ち上げコストが下がっている。米衛星産業協会によると世界の衛星ビジネスの売り上げ規模は2017年に2686億ドル(約30兆円)と15年から約3割増えた。アマゾンの参入は市場拡大をさらに促す可能性がある。

一方で通常のクラウドのように顧客を増やせるかは課題が残る。今回のAWSのサービスは衛星写真分析の米デジタルグローブなど当初の顧客は6社にとどまった。個人で宇宙旅行のための企業「ブルーオリジン」を設立するなど宇宙への思い入れが強いアマゾン創業者のジェフ・ベゾスCEOだが、その夢をアマゾンが利益として享受するにはまだ時間がかかりそうだ。

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