2019年3月19日(火)

70年ぶりの漁業法改正、国会の火種に 企業の参入促す

2018/11/27 23:00
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70年ぶりの大改正となる漁業法改正案をめぐり野党が対決姿勢を強めている。同法案は漁業権制度の見直しなどを通じて企業の新規参入を促し、漁業の成長産業化につなげる内容だ。野党は小規模な漁業者の理解が得られていないと批判し、いったんは審議の欠席戦術にも出た。与党は今国会での成立をめざしており、終盤国会での火種となりそうだ。

衆院本会議で漁業法改正案の趣旨説明をする吉川農相(15日午後)

衆院本会議で漁業法改正案の趣旨説明をする吉川農相(15日午後)

衆院農林水産委員会は27日、立憲民主党や国民民主党など野党4党派の議員が質問に立った。22日の質疑では与党の強引な国会運営を理由に欠席している。与党は当初提案していた27日の採決は見送った。野党は漁場の現地視察を含め、慎重な審議を求めている。28日の採決をめぐって引き続き攻防を続ける。

安倍晋三首相は所信表明演説で同法案について「70年ぶりの抜本的な改正」と表明した。その理由のひとつが企業の参入を容易にするための漁業権制度の見直しだ。養殖を中心とした沿岸漁業を営むのに必要な権利で、地域の漁業協同組合や漁業者に優先して与えている。企業が参入する場合、漁協に漁業権行使料などを支払う必要がある。

漁業法をめぐる論点

漁業法をめぐる論点

改正案では漁業権の優先順位を廃止する。漁協が適切・有効に管理していなかったり、既存の漁業権がなかったりする場合は「地域の水産業の発展に寄与」する企業などに免許を与える。

もう一つは、乱獲を防ぎ価格が高い時期に販売できるようにするための資源保護の強化だ。政府が漁獲可能量(TAC)を決める魚種を増やし、漁船ごとに漁獲してもよい枠を割り当てる制度(IQ)を基本とする。従来の漁船のトン数制限は和らげ、漁船の大型化を促して生産性を高める。

立民の枝野幸男代表は外国人労働者の拡大のための出入国管理法改正案と並べ「同じくらい深刻な法案」と指摘する。「沿岸漁業を経済合理性で自由にして本当に良いのか」と語る。国民の玉木雄一郎代表は「現場の意見を全く聞いていない」と批判する。

漁業法改正案は、6月に政府の規制改革推進会議がまとめた答申を踏まえた内容だ。農協改革などに続く、農林水産業の成長産業化を促す取り組みと位置づける。2019年度予算の概算要求では水産関連全体で3003億円と7割増とし、政府として注力する。

野党は安倍政権の農林水産業の改革には小規模生産者の不満が強いとみて19年参院選に向け訴えを強める。立民は各地で生産者と座談会を開いており、近く「農林漁業に関する政策ビジョン」をまとめる。

企業参入を推進する立場からも、都道府県などの判断に委ねる項目が多く、不十分との声がある。水産業に詳しい自民党議員は「漁業の経営は難しい。法改正しても企業参入が一気に進むわけではない」と語る。

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